藻谷浩介の世界「来た・見た・考えた」

香港のLRT「軽鉄」に“鉄チャン”藻谷氏が乗ってみた

藻谷浩介・地域エコノミスト
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香港北西部のニュータウン地区に複雑な路線網を持つ「軽鉄」(写真は筆者撮影)
香港北西部のニュータウン地区に複雑な路線網を持つ「軽鉄」(写真は筆者撮影)

香港・軽鉄と長大架橋の旅編(1)

 初めて香港を歩いた2009年。地下鉄路線図の左上隅に、碁盤の目のような路線網が小さく書き込まれているのに気づいた。注釈には「軽鉄(Light Rail)」と書いてある。香港にもLRT(次世代型路面電車)があったのかと感動し、それ以来乗る機会を探っていたが、19年5月、イスラエルからの帰路に立ち寄り、ようやく念願をかなえた。

MTRを2回乗り換えて屯門地区へ

 テルアビブからのキャセイ航空便は、朝の5時半に香港国際空港に着いた。機中で合計6時間ほど寝たが、体内時計は真夜中なので、頭は重い。

 コロナ禍ではなかったこの当時、入国手続きゲートはひどく混んでおり、そこを抜けて荷物を預け、機場(Airport)駅の電車に乗ったのは午前7時近かった。だが次に乗る羽田行きは午後なので、十分に時間はある。

 東京特別区と横浜市を足したくらいの面積に、750万人ほどが住む香港特別行政区。山ばかりの半島と島々の上に、細長く大都会が造成されている景観は、韓国の釜山に似ている。北九州市の密度をぐんと高くした感じだ。

 そんな香港には、東京メトロの9割ほどの総延長を持つ都市鉄道網のMTR(港鉄)があり、その線の一つが、空港から都心まで35キロを途中2駅のみ停車の急行運転で24分で結んでいる。

 香港の路面電車といえば、香港島の北岸の狭隘(きょうあい)な市街地を東西に走るトラム(2階建て市電)のことだ。2階の先頭部分に1時間半近く座って眺める景色は、そのまま香港観光のメインコンテンツである。そのトラムに乗る場合には終点の香港駅まで行けばいいのだが、筆者は中間駅の青衣(ツェンイ…

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藻谷浩介

地域エコノミスト

1964年山口県生まれ。平成大合併前の約3200市町村のすべて、海外114カ国を私費で訪問し、地域特性を多面的に把握する。2000年ごろから地域振興や人口問題に関して精力的に研究、執筆、講演を行う。著書に「デフレの正体」「里山資本主義」ほか多数。国内の鉄道(鉄軌道)全線を完乗した鉄道マニアでもある。