
梅雨どきは、雨漏りについての相談が多くなる。雨漏りは屋根や外壁から建物内部に雨水が浸入する水の被害だ。普段は起きていることに気づかなくても、長雨にさらされた結果、ついに室内に雨水が染み出してきて表面化するケースがある。ひとたび水の浸入ルートができれば、雨漏りは繰り返し発生する。早期発見と早期処置が重要だ。
耐震性の低下にも
雨漏りは、建物に大きなダメージを与える。
雨漏りといえば、天井の染みやカビの黒ずみや臭いなどを思い浮かべる人は多い。だが、問題はそれだけではない。見た目でわかるようなトラブルがある場合、すでに、建物の機能や資産価値を大きく低下させる被害が起きていることも多い。
たとえば木造住宅で雨漏りが起きれば、建物を支えている柱・梁(はり)・土台などの構造部材が湿って強度が低下する。さらに、湿ったところを好むシロアリが発生して、木材を食い荒らす食害も進みやすくなる。
構造部材の強度が下がれば、結果的に耐震性の低下につながる。
鉄筋コンクリート造りでも、コンクリート内部に雨水が浸入すれば、鉄筋がさびたりして、強度の低下につながる。
また、屋根や壁の裏側にある断熱材がぬれれば、断熱性能が下がる。
雨漏りの修理費用は、マンションや一戸建てなど規模の違いや原因により異なるが、一般に1戸あたり数十万円、場合によっては数百万円かかることもある。
品確法の「10年保証」とは
雨漏りは、築年数が古い住宅でばかり起きるわけではない。工事の不具合などが原因で、新築から日が浅い「築浅」物件でも起きることがある。
住宅の性能に問題や欠陥があっても、住人はなかなか気づきにくい。このため、住宅…
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