産業医の現場カルテ

「めまいや耳鳴り」40代営業職女性を襲った病とは

佐藤乃理子・産業医・労働衛生コンサルタント
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 産業医である私は、ある中堅メーカーで営業職を務める木村さん(仮名、40代女性)から相談を受けました。木村さんは最近、めまいに悩まされています。「週1回程度で、だいたい1~2時間続きます。仕事中に車を運転することがあり、めまいが起こるのが怖いです。上司に相談し、在宅勤務をメインにしてもらったところです」といいます。

めまいは何科を受診?

 木村さんの症状は1カ月ほど前から始まり、時折、耳鳴りや吐き気を伴っていました。早めに上司に相談し、車の運転を回避したのは賢明な判断です。そして、めまいや耳鳴りなどの原因がわからず、何科を受診すべきか判断できなかったため、産業医に相談したとのことでした。産業医の活用法としても適切です。

 また、木村さんが何科を受診すればよいか迷ったのも仕方がないでしょう。めまいには、主に耳が関係する末梢(まっしょう)性のものと、脳神経が関係する中枢性のものがあります。末梢性には、突発性難聴やメニエール病などがあります。中枢性は脳の病気であることが多く、場合によって脳梗塞(こうそく)や脳出血のおそれがあります。

疲れやストレスが引き金に

 私は、木村さんの症状から、メニエール病を疑いました。メニエール病は「内耳リンパ水腫」ともいい、耳の奥の内耳を満たす内リンパ液が過剰になることで…

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佐藤乃理子

産業医・労働衛生コンサルタント

2002年、藤田保健衛生大学医学部卒業。泌尿器科医として病院に勤務しながら、がん治療薬の基礎研究にあたった。10年に厚生労働省健康局へ出向して臓器移植関連の政策に従事し、13年に北里大学医学部に所属し、同大学病院の医療マネジメント、経営企画に参画。15年に日本医師会認定産業医となり、複数の企業の嘱託産業医を務めてきた。20年4月に労働衛生コンサルタントを取得し、幅広く働く人の健康や職場環境の管理に関する相談を受ける。また、東京都檜原村で労働環境やライフスタイルのあり方を提案する「檜原ライフスタイルラボ」の共同代表を務める。