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今年も送られてきた「住民税通知書」で増税になる人は

渡辺精一・経済プレミア編集部
 
 

 5~6月は住民税の「税額決定通知書」が届く時期だ。住民税は前年の所得で計算した税額を6月から納税する「課税のズレ」があり、会社員なら6月の給与から天引きになる税額が変わる。特に今回は税制改正があり増税となる人もいる。住民税は所得税と比べるとなじみが薄くなりがちだが、これを機に仕組みを確認しておこう。

住民税は「地域社会の会費」

 住民税は、道府県民税(東京都は都民税)と市町村民税(東京23区は特別区民税)とがあり、1月1日現在の住所がある自治体に納める。

 個人に対する個人住民税の税額は、収入から必要経費分を差し引き、さらに家族の扶養や保険料の支払いなどの事情に応じた「所得控除」を差し引いた「課税所得」をもとに計算する。

 この流れは所得税と共通するため「国の所得税・地方の住民税」と二つをセットで考えることも多いが、意外に大きな違いがある。主に二つだ。

 一つ目は、課税の考え方や税額の計算方法の違いだ

 所得税は、課税所得が多いほど税率が高まる累進課税で、税率は5~45%の7段階がある。経済力に応じて税を負担するのが公平だと考える「応能性」原則によるためだ。

 これに対し、住民税は、その人が受ける公共サービスに応じて税を負担するのが公平だという「応益性」原則による。いわば「地域社会の会費」という考え方で、税負担はよりフラットだ。

 住民税は「均等割」と「所得割」の二つがある。均等割は、所得が多い人も少ない人も一律で、2023年度までは東日本大震災の復興や防災費用の財源確保として1000円を増額した5000円(市町村税3500円、道府県税1500円)だ。所得割りは、所得に応じて税額を決める…

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経済プレミア編集部

1963年生まれ。一橋大学社会学部卒、86年毎日新聞社入社。大阪社会部・経済部、エコノミスト編集次長、川崎支局長などを経て、2014年から生活報道部で生活経済専門記者。18年4月から現職。ファイナンシャルプランナー資格(CFP認定者、1級FP技能士)も保有。