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地域再生…鍵は若い世代の「将来への思い」

星野佳路・星野リゾート代表
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幻想的にライトアップされた長門湯本温泉の「竹林の階段」=山口県長門市提供
幻想的にライトアップされた長門湯本温泉の「竹林の階段」=山口県長門市提供

 星野リゾートは、経営不振に陥った各地のリゾート施設や旅館の再生を手掛けてきました。再生にあたって最も重要なのは「そこで働くスタッフが自分で発想し、考え、行動すること」。代表の星野佳路さんはそう語ります。

リゾート再生…自ら発想し議論するチーム作りを

 星野リゾートが初めて施設再生に着手したのは、「リゾナーレ八ケ岳」(山梨県北杜市)でした。リゾート施設としての運営がうまくいかず、もともとの開発・運営会社が民事再生手続きに入ったのがきっかけでした。そこで私たちが運営を行い、再生を担うことになりました。

 その当時の2001年には、私たちも軽井沢にしか拠点がなく、その本拠地も再開発の途上でした。会社としては、軽井沢再開発に向け財務体力を蓄えている時期であり、赤字案件である八ケ岳の施設を抱え込むのは、大きなリスクになる。これは難しい決断でした。

 しかし、星野リゾートが当時掲げていたビジョンは、リゾート施設の所有・運営から脱して、運営に特化していく「運営特化戦略」。施設運営の力で軽井沢という枠を超えていこうと考えていたため、八ケ岳の提案を頂いた時、これは「いつかは越えていかなくてはいけないハードル」であると考えました。

 八ケ岳の運営をしっかり手掛け、私たちの運営の実力を見せることで、次の施設につなげていく。ビジョンに到達するには、「取らなければいけないリスク」でした。

 どの施設もそれぞれ個性があります。地域の個性も違えば、置かれている環境も違います。

 軽井沢からやってきた私のような経営者が「ここをこうすればいい」「こうすれば業績が良くなる」というような単純なものではありません。施設のコンセプトは、どこか他から持ってきて通用するというものでもありません。

 施設のコンセプトは、自らが置かれ…

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星野佳路

星野リゾート代表

 1960年、長野県生まれ。慶応大経済学部卒業後、米コーネル大ホテル経営大学院修士課程修了。91年に星野温泉(現・星野リゾート)代表。温泉旅館だった家業を「世界で通用するホテル会社」にするとの目標のもと、所有と運営を一体とする日本の観光産業でいち早く運営特化戦略をとり、大きく変貌、成長させた。