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新幹線も地方鉄道も「旅客列車で荷物輸送」なぜ増えた

土屋武之・鉄道ライター
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九州新幹線に積み込まれる佐川急便の荷物=福岡市博多区で2021年5月18日、久野洋撮影
九州新幹線に積み込まれる佐川急便の荷物=福岡市博多区で2021年5月18日、久野洋撮影

 近年、旅客列車の空きスペースを活用した「荷物輸送」が盛んになっている。直近では5月18日、JR九州と佐川急便が九州新幹線を使った新たな宅配便サービスを始めた。コロナ禍においては、乗客減にあえぐ鉄道各社の新たな収入源としての期待もあるようだ。

 そもそも日本では鉄道黎明(れいめい)期から、かつての国鉄を中心に「小荷物」を幅広く手がけていた。主に個人向けの荷物輸送サービスで、専用の荷物車も存在した。

 しかし、発送の際に駅まで持ち込まねばならないなど手間がかかりすぎることや、料金の割には到着まで時間がかかるといった難点があり、宅配便が普及すると急速に衰退。国鉄では1986年に廃止された。新幹線に荷物を積んで運ぶ急送便「レールゴー・サービス」は継続したものの、やがて需要は下火になっていった。

 それがここ10年で形を変え、旅客列車による荷物輸送が増えているのだ。

宅配便業者が鉄道会社と契約

 以前と異なるのは、特定の事業者が鉄道会社と契約し、旅客列車に荷物を積んで運んでいる点だ。鉄道のみならず長距離路線バスと提携した例もある。

 こうした「貨客混載輸送」には二つのパターンがあり、一つは宅配便業者がトラックなどの代わりに列車を利用するというものだ。

 2011年にヤマト運輸と京福電気鉄道(京都市)が提携したケースなど、地方の民営鉄道やJRのローカル線が使われる例が多い。宅配便業者にとってはトラックの運転手不足を補えることがメリットだ。鉄道会社にとっても増収につながり、ウィンウィンの関係が成り立っている。

 もう一つが、新幹線や特急列車のスピードを生かした急送品輸送だ。鮮魚や野菜といった生鮮食品の…

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土屋武之

鉄道ライター

1965年、大阪府豊中市生まれ。大阪大学で演劇学を専攻し、劇作家・評論家の山崎正和氏に師事。出版社勤務を経て97年に独立し、ライターに。2004年頃から鉄道を専門とし、雑誌「鉄道ジャーナル」のメイン記事などを担当した。東日本大震災で被災した鉄道路線の取材を精力的に行うほか、現在もさまざまな媒体に寄稿している。主な著書に「ここがすごい!東京メトロ」(交通新聞社)、「きっぷのルール ハンドブック」(実業之日本社)など。