ニッポン金融ウラの裏

詐欺事件に遭い「自主廃業」SBI子会社の“後始末”

浪川攻・金融ジャーナリスト
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SBIのグループが入るビル=東京都港区で2021年5月26日、釣田祐喜撮影
SBIのグループが入るビル=東京都港区で2021年5月26日、釣田祐喜撮影

 個人投資家と事業者を結びつける新たな金融「ソーシャルレンディング」の業界が大揺れだ。金融グループSBIホールディングス(北尾吉孝社長)の子会社で、業界最大手のSBIソーシャルレンディングが詐欺事件に巻き込まれたからだ。事件をきっかけに、レンディング業者の「貸手責任」に注目が集まっている。

 事件はこのSBI子会社の主要融資先、テクノシステム社(横浜市)で起きた。テクノ社は、SBI子会社から融資を受けて太陽光発電やバイオマス発電を幅広く手がけていた。だが、今年に入り事業が行き詰まっていたことが明らかになった。

 5月には、テクノ社の社長ら幹部3人が融資金11億円余りをだまし取ったとして、東京地検特捜部に詐欺容疑で逮捕された。その直前に、SBIホールディングスは子会社を自主廃業しソーシャルレンディング事業から撤退すると発表した。

トラブルが多発

 ソーシャルレンディングは、ネットを通じて個人投資家に1口1万円程度の小口投資を呼びかける。仲介業者が投資を募集し、事業者に貸し付ける。5~10%と高利回りをうたう事業者が多いが、虚偽の内容で投資を募ったり、親族企業に恣意(しい)的に貸し付けたりするといったトラブルが多発している。

 SBI子会社が融資したテクノ社は、借入金を横流ししたことも判明しており、自転車操業に陥っていた。テクノ社への融資は焦げ付く可能性が高く、投資家への償還をどうするかがまず問題になる。

 SBIホールディングスは、事業撤退に先駆けて最大約150億円の特別損失を計上し、投資家への出資金返還に取り組むと発表した。金融商品取引法は、顧客に与えた損失を業者が補塡(ほてん)するこ…

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浪川攻

金融ジャーナリスト

1955年、東京都生まれ。上智大学卒業後、電機メーカーを経て、金融専門誌、証券業界紙、月刊誌で記者として活躍。東洋経済新報社の契約記者を経て、2016年4月、フリーに。「金融自壊」(東洋経済新報社)など著書多数。