米国社会のリアル

いかにもアメリカ的?米ワクチン接種「あの手この手」

樋口博子・ロス在住コラムニスト
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米国ではワクチンの接種ペースが減速している=2021年6月3日、AP
米国ではワクチンの接種ペースが減速している=2021年6月3日、AP

 昨年12月から新型コロナウイルスのワクチン接種が急速に拡大した米国。現在は総人口の42.8%が2回目の接種(完全接種)を終え、18歳以上の64.1%、65歳以上の86.6%が1回目の接種を完了しています(6月11日時点)。

 ところが「接種ペース」で見ると、4月をピークに減速していることも分かっています。4月10日前後に1日300万回(7日間移動平均)を超えていたワクチン接種は、5月31日から1日100万回(同)を切るようになりました(米疾病対策センター=CDC=調べ)。

 集団免疫の一つの目安とされる「人口70%のワクチン接種」に向け、米国は新たな正念場を迎えているのです。

各地で「最後の追い込み作戦」

 接種ペースが減速した背景には「もともとワクチン接種に消極的な層」の存在があります。CNNの世論調査(4月21~26日)でも、約4分の1(26%)が「接種を受けない」と回答しました。

 そんな中、バイデン大統領は7月4日の独立記念日までに、18歳以上の70%が1回目の接種を終えることを目標にしています。州レベルでも接種目標が掲げられ、今、全米各地は「最後の追い込み作戦」のまっただ中にあるのです。

 私が暮らすカリフォルニア州では5月27日、ワクチン接種者を対象に、最高150万ドル (約1億6400万円)が10人に当たる「宝くじキャンペーン」が始まりました。すでにニューヨーク州(最高当選額500万ドル)やコロラド州(当選者5人に100万ドル)なども宝くじ作戦に出ており、金額の大きさで州同士が競い合う様相も呈しています。

 カリフォルニア州では、先着200万人に配られる50ドルのギフトカ…

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樋口博子

ロス在住コラムニスト

 兵庫県生まれ。ロンドン大修士(開発学)、東大博士(国際貢献)。専攻は「人間の安全保障」。2008年、結婚を期にロサンゼルスに移住。渡米前はシンクタンク、国際協力銀行、外務省、国際NGOで開発途上国支援に取り組んだ。米国で2019年に独立。地元コミュニティーを地域や日米でつなぐ活動をしている。カリフォルニア州議会下院議員アル・ムラツチ氏(民主党)は夫。