イマドキ若者観察

さらされるストレス「大坂なおみ選手」に共鳴する若者

藤田結子・明治大商学部教授
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大坂なおみ選手=大阪市内で2019年9月22日、加古信志撮影
大坂なおみ選手=大阪市内で2019年9月22日、加古信志撮影

 テニスの大坂なおみ選手が全仏オープンを棄権したことに対して、メディアやSNSにはさまざまな意見があがりました。大坂選手が「うつ状態」を告白したことについて、若者たちはどのように感じたのでしょうか。現役大学生が首都圏の高校生や大学生に取材しました。

「さらされる」ストレスに共感

 若者からは、大坂選手が記者会見にストレスを感じていたという告白に対して、自分自身の経験とも重なるという声が聞かれました。

 「授業であてられた時でさえ、求められていることを話さなきゃって考え過ぎて不安になる。だから話した内容が世界に発信されるのって、とんでもなくストレスなんだろうな」と、大学生の美咲さん(仮名、20代)は共感します。

 いまの若者たちは、周囲から目立ちすぎない、浮かないように、大いに気を配りながら発言する傾向があるのです。

 「うつがどういう状態か経験したことがないから、あまり共感できない」という意見も聞かれました。が、精神科に通院した経験のある若者も少なくありません。大学生の優花さん(仮名、20代)は「大坂選手がうつ状態を公表してくれたことで、精神的な病への理解が進んだんじゃないか」といいます。

 優花さんは部活でマネジャーをしていた際、メンタルヘルスに関して周囲の理解を得られなかった経験があったそうです。

 「心の調子を崩して、部活にはドクターストップがかかった。けど、他のマネジャーさんが風邪をひいた時、人数が足りないから来てくれないかって言われて。目に見える体調不良じゃないと理解されないんだなと思ってからは言い出しにくくなった」

 中には「記者会見をしないという選択は許容されるべきだけれど、…

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藤田結子

明治大商学部教授

東京都生まれ。慶応義塾大を卒業後、大学院留学のためアメリカとイギリスに約10年間滞在。06年に英ロンドン大学で博士号を取得。11年から明治大学商学部准教授、16年10月から現職。専門は社会学。参与観察やインタビューを行う「エスノグラフィー」という手法で、日本や海外の文化、メディア、若者、消費、ジェンダー分野のフィールド調査をしている。