藻谷浩介の世界「来た・見た・考えた」

香港・中国・マカオ結ぶ「港珠澳大橋」50キロのバス旅

藻谷浩介・地域エコノミスト
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港珠澳大橋をバスで行く。あいにくの雨天で眺望は利かなかった(写真は筆者撮影)
港珠澳大橋をバスで行く。あいにくの雨天で眺望は利かなかった(写真は筆者撮影)

香港・軽鉄と長大架橋の旅編(2)

 「港(=香港)」「珠(=中国広東省珠海<ズーハイ>市)」「澳(=澳門<マカオ>)」を結ぶ、世界最長の海上道路「港珠澳大橋」。2016年4月に香港からマカオへの移動途中、高速船の航路の横に延々と続く、建設中の様子を見て驚いた(「かつてのポルトガル植民地『マカオ』の中国との距離感」参照)。18年10月に開通したと聞き、渡ってみたいものと思っていたが、その機会はその3カ月後に訪れた。

珠海市行きのバスに乗る

 19年1月、2度目のアフリカ南部旅行からの帰国途上。南アフリカ・ヨハネスブルクからのキャセイ航空便は、朝の7時15分に香港国際空港に着いた。香港に入境して荷物を預け、港珠澳大橋を走る専用バスの発着する「香港口岸」に行くため、シャトルバスの乗り場を探す。この施設は空港島の東側に新たに造成された別の人工島の上にあって、空港ターミナルから歩いていくことはできない。

 現在は改善されているのかもしれないが、案内表示が明確ではなく、乗車時間7分のシャトルバスの乗り場を見つけるのに、40分以上も歩き回った。ようやく見つけた乗り場はターミナルの外の、ぐるりと回り込んだ片隅にあって、客数もまばらだった。空港からマカオへの高速船の乗り場は、空港ターミナル内に大規模に設けられているだけに、急いでいる人なら船に乗ってしまうかもしれない。

 香港口岸は日本でも最近はやりの、天井に木の集成材を張り付けた、センスのいい建築だった。しかし大きすぎて、がらんとした印象は否めない。マカオか中国の珠海のどちらへ行くかで、内部の動線は完全に分かれている。

 筆者はマカオではなく、行っ…

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藻谷浩介

地域エコノミスト

1964年山口県生まれ。平成大合併前の約3200市町村のすべて、海外114カ国を私費で訪問し、地域特性を多面的に把握する。2000年ごろから地域振興や人口問題に関して精力的に研究、執筆、講演を行う。著書に「デフレの正体」「里山資本主義」ほか多数。国内の鉄道(鉄軌道)全線を完乗した鉄道マニアでもある。