経済プレミアインタビュー

ファーウェイ日本会長に聞く「米国制裁の影響」とは

川口雅浩・毎日新聞経済プレミア編集長
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インタビューに答えるファーウェイ・ジャパンの王剣峰会長=東京都千代田区で2021年5月27日、宮本明登撮影
インタビューに答えるファーウェイ・ジャパンの王剣峰会長=東京都千代田区で2021年5月27日、宮本明登撮影

 米中の覇権争いをめぐるニュースによく登場する中国の通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)とはどんな会社なのか。ファーウェイといえば、トランプ前米大統領が2019年、「中国企業が中国政府の情報活動に加担する恐れがある」として、同社を政府調達から排除したことが記憶に新しい。

 さらに米国は、外国で製造した半導体であっても米国の製造装置やソフトウエアを使っていれば、米政府の許可なくファーウェイ向けに輸出することを禁じる強力な制裁に踏み切った。バイデン政権となっても米中対立は解消していない。同社は日本にも拠点を置き、活動している。渦中の同社は今どんな状況なのか。ファーウェイ・ジャパンの王剣峰会長に聞いた。【聞き手は経済プレミア編集長・川口雅浩】

 ――ファーウェイと聞くと、日本ではスマートフォンのイメージが強いですが、世界でどんなビジネスを展開しているのでしょうか。

 ◆王剣峰さん 一般の消費者から見れば、ファーウェイはスマホメーカーと思われるでしょう。でも、スマホだけではありません。通信事業者向けに基地局を設置するネットワーク事業、法人向けにICT(情報通信技術)サービスを提供するソリューション事業を行っており、この三つが大きな柱です。

 ――ファーウェイは1987年に中国・深圳で発足したそうですが、中国政府とはどんな関係なのでしょうか。

 ◆登記情報はすべて公開していますが、従業員持ち株制による民間会社です。創業者の株式保有率は現在1%にも満たない状況です。残る99%は従業員の持ち株です。現在は約12万人の従業員が株式を所有しています。

 ――わずかでも中国政府が株式を保有していることはありませんか。

 ◆ありません。純粋な民間会社で、いかなる政府組織、機関も株式を保有していません。従業員は世界に約20万人おり、現在は世界170以上の国と地域の約30億人に製品やサービスを提供しています。

日本の経団連に加盟

 ――日本へはどんな目的で、いつ進出したのですか。

 ◆05年にファーウェイ・ジャパンを設立し、進出しました。日本は重要なマーケットであり、重要な部品や部材の調達市場でもあります。日本国内に研究開発センターがあり、日本のサプライヤー(部品メーカー)とも協業しています。

 11年には中国企業として初めて経団連に加盟しました。19年に関西経済連合会、20年には九州経済連合会にも加盟しました。日本に長く根を張って、成長していきたいという願いからです。

制裁でスマホ作れずOSを自社開発

 ――米国の制裁の影響はどうでしょうか。

 ◆米国については二つのことがあると思っています。一つは市場参入の問題、もう一つは供給の規制という問題です。市場参入規制の影響は正直、あまり大きくありません。私どもが米国の市場になかなか入れてもらえない問題は、もう10年も前から続いているからです。

 供給面では…

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川口雅浩

毎日新聞経済プレミア編集長

1964年生まれ。上智大ドイツ文学科卒。毎日新聞経済部で財務、経済産業、国土交通など中央官庁や日銀、金融業界、財界などを幅広く取材。共著に「破綻 北海道が凍てついた日々」(毎日新聞社)、「日本の技術は世界一」(新潮文庫)など。財政・金融のほか、原発や再生可能エネルギーなど環境エネルギー政策がライフワーク。19年5月から経済プレミア編集部