
「何をそんなに大騒ぎしているのか、まったく意味が分からない」。4月30日、東京都内で筆者ら報道陣の取材に応じた楽天グループの三木谷浩史会長兼社長は、政府に対する強い不満をぶちまけた。
楽天は今年3月、中国IT大手、騰訊控股(テンセント)の子会社から出資(発行済み株式の3・65%)を受けたが、日米両政府に問題視され、同社に対する当局の監視の目が強まった。これに反発したのが冒頭の発言だ。
楽天の前に立ちはだかったのは、「経済安全保障」という新潮流。米中の覇権争いが激化する中、軍事・安全保障と、ハイテク開発を含む経済活動が「表裏一体の関係」になってきたという考え方だ。日本国内でも、企業に対する当局の干渉、監視が強まっている。
経済安保の名の下に、各国政府が矢継ぎ早に打ち出す政策の流れを読み、対応策を検討することは、産業界にとって喫緊の課題になりつつある。
そもそも経済安保とは何なのか。それによって日本経済、企業活動はどう変化していくのか。議論をリードするキーマンを直撃した。
「日本殺すにゃ…」キーマン自民・甘利明氏の都々逸
「日本でもようやく経済安全保障が意識され始めたが、米欧に比べ対応はまだまだ甘い。経済は時として武力以上の武器になる。そのリスクを官民が認識しないと、日本だけが取り残されてしまう」
こう強調するのは、自民党の甘利明衆院議員だ。経済産業相など政府、党の要職を歴任してきた「経済通」はいま、日本の経済安保問題で中心的な役割を担っている。
5月27日には、自身が座長を務める自民党「新国際秩序…
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