身近なデータの読み方

ワクチン接種「出遅れ日本」待ち受ける“40%台の壁”

篠原拓也・ニッセイ基礎研究所主席研究員
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看護師から接種を受ける東京消防庁の職員(左)=2021年6月8日
看護師から接種を受ける東京消防庁の職員(左)=2021年6月8日

 新型コロナウイルス感染収束の切り札ともいえるワクチン接種が、日本でようやく本格化してきた。政府は「1日100万回の接種」を目標に掲げ、高齢者向け接種を7月末までに完了させる方針で、6月21日からは職場や大学での職域接種を開始する予定だ。はたして、接種は順調に進むのだろうか。今回は、昨年12月に接種をスタートした米英の状況を参考に、ワクチン接種の今後の推移について考えてみる。

日本の接種はスロースタート

 まず、日本の状況を確認する。日本では2月17日に医療従事者向け、4月12日に高齢者向けの接種が始まった。しかし、接種はなかなか進まず、英オックスフォード大の研究者らが運営する「アワー・ワールド・イン・データ」によると、5月6日時点で、接種率(少なくとも1回接種を受けた人の割合)は2.4%で、経済協力開発機構(OECD)加盟38カ国中最下位だった。

 日本で接種がなかなか進まなかった理由として、日本メーカーによるワクチン開発ができていない▽国内の臨床試験が進まず、海外メーカーのワクチン承認に時間がかかった▽当初、国際的なワクチン獲得競争で劣後し、輸入量が限られていた――といった点が指摘されている。

 日本は4月からワクチンの輸入量が増え、5月10日には自治体へのワクチン配布を増やして高齢者向け接種を本格化し、同24日には東京、大阪の大規模接種センターで接種をスタートした。さらに、歯科医…

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篠原拓也

ニッセイ基礎研究所主席研究員

1969年、東京都生まれ。早稲田大理工卒。92年、日本生命入社。2014年から現職。保険事業の経営やリスク管理の研究、保険商品の収益性やリスクの評価、社会保障制度の調査などを行う。公益社団法人日本アクチュアリー会正会員。著書に「できる人は統計思考で判断する」(三笠書房)がある。