産業医の現場カルテ

夏場のエアコン設定で“板挟み”冷房担当の解決策は?

佐藤乃理子・産業医・労働衛生コンサルタント
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 産業医である私は、金融機関の支店で総務担当を務める風間さん(仮名、30代女性)から相談を受けました。毎年夏になると冷房の問題で苦労するからです。「行員たちから『暑すぎる』『寒すぎる』という両極端の苦情が出てきます」といいます。

夏の「冷房問題」

 支店には窓口担当の事務職と外回りをする営業職がいます。夏の間は冷房を使って室温を25度以下にするようにしていますが、外回りから戻ってきた営業職には暑すぎて、基本的に店内で座って作業することが多い事務職は寒すぎると感じるようです。

 昨年8月の東京の平均最高気温は34.1度(平均最低気温25.3度、平均気温29.1度)で、平均湿度は76%でした。屋外は「蒸し風呂」のような状況のときもあるでしょう。外回りから戻った営業職が涼を求めたくなる気持ちもわからなくありません。

 しかし、常に体を冷やしすぎたり温度差の激しい屋外と室内を出入りしたりすることで体温の調整がうまくできなくなると、体に影響が出ることがあります。風間さんは「事務職の女性行員の中には、手足の冷えや食欲不振などから体調不良を訴えるケースもあります」と話します。

 こうした症状を指すものとして「冷房(クーラー)病」や「自律神経失調症」というフレーズを聞いたことがある人もいるでしょう。しかし、これらは…

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佐藤乃理子

産業医・労働衛生コンサルタント

2002年、藤田保健衛生大学医学部卒業。泌尿器科医として病院に勤務しながら、がん治療薬の基礎研究にあたった。10年に厚生労働省健康局へ出向して臓器移植関連の政策に従事し、13年に北里大学医学部に所属し、同大学病院の医療マネジメント、経営企画に参画。15年に日本医師会認定産業医となり、複数の企業の嘱託産業医を務めてきた。20年4月に労働衛生コンサルタントを取得し、幅広く働く人の健康や職場環境の管理に関する相談を受ける。また、東京都檜原村で労働環境やライフスタイルのあり方を提案する「檜原ライフスタイルラボ」の共同代表を務める。