職場のトラブルどう防ぐ?

「ワクチン休暇」従業員の接種に会社はどう対応する?

井寄奈美・特定社会保険労務士
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新型コロナウイルスのワクチンを接種する歯科医師(右)=静岡県裾野市民文化センターで2021年6月14日、長沢英次撮影
新型コロナウイルスのワクチンを接種する歯科医師(右)=静岡県裾野市民文化センターで2021年6月14日、長沢英次撮影

 A史さん(36)は、従業員数約300人の専門商社の総務担当者です。新型コロナウイルスのワクチン接種が進む中、「ワクチン休暇」に関する問い合わせを従業員から多く受けています。会社として、ワクチン休暇を制度として取り入れなければならないのかどうか、悩んでいます。

大企業を中心に導入例

 新型コロナのワクチン接種は、一部の企業で職域接種が始まり、今後順次拡大していくことになります。また、住民票のある自治体で受ける一般接種も、地域によっては64歳以下の住民への接種が始まっています。

 ワクチンは3~4週間を空けて2回接種することとされています。厚生労働省は、接種後の副反応として接種部位の痛みや疲労、頭痛などが50%以上、悪寒、発熱などが10~50%の割合で出ると示しています。筆者の周囲でワクチン接種を受けた医療従事者などによると、特に2回目の接種後に倦怠(けんたい)感や悪寒、発熱などがあったという声を聞きます。

 ワクチン接種とその後の体調不良に備えて、大企業を中心に特別休暇にあたる「ワクチン休暇」を準備しているケースが多くあります。副反応が少なからずあることや、接種を希望する従業員が平日の昼間に予約を取りやすくすることに対応するものです。A史さんの会社では、そうした報道を耳にした従業員による問い合わせが増えているようです。

ワクチン接種は会社が強制できない

 ワクチン接種とワクチン休暇につ…

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井寄奈美

特定社会保険労務士

大阪市出身。2015年、関西大学大学院法学研究科博士前期課程修了。現在、大阪大学大学院法学研究科博士後期課程在籍中(専攻:労働法)。01年、社会保険労務士資格を取得。会計事務所勤務などを経て06年4月独立開業。井寄事務所(大阪市中央区)代表。著書に『トラブルにならない 小さな会社の女性社員を雇うルール』(日本実業出版社)など。http://www.sr-iyori.com/