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「青山に出る!」ロックな経営者が破った下請けの壁

入山章栄・早稲田大大学院経営管理研究科(ビジネススクール)教授
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本多プラスのプラスチック製カードボトル。なかに液体を入れられる=同社提供
本多プラスのプラスチック製カードボトル。なかに液体を入れられる=同社提供

 入山章栄・早稲田大大学院教授の連載「未来を拓(ひら)く経営理論」は、世界の経営学の知見をビジネスパーソンが実践できる形で分かりやすく紹介していきます。今回のテーマは、中小企業が下請けを脱するには、どう動くべきか。愛知県のプラスチック会社「本多プラス」は、東京・青山に打って出ることで壁を突破しました。ロック系経営者、本多孝充社長(52)の歩みを紹介します。

入山章栄教授の「未来を拓く経営理論」

 本多プラスは、愛知県新城市にある会社です。近くには、戦国時代に織田・徳川連合軍が武田勢を破った長篠合戦の古戦場があり、場所だけで見れば田舎にある会社です。

 会社の歴史をひもとくと、祖父の正造さんが戦後間もなく「本多セロファン工業所」を創業。当時、毛筆のさやは竹を割って作られていましたが、それでは筆先が見えない。セロハンを用いた透明なキャップの製造で会社の礎を築きました。

 その後、先代社長で父親の克弘さんがプラスチック成形業に進出し、野球のメガホンといった製品のほか、修正液のボトルで会社を大きくしました。

 そして、3代目が現社長の孝充さんです。ロックミュージシャンになりたくて、ロンドンに渡り、そこで出会った知人の影響で、経営学修士(MBA)を取得して帰国。その直後の1997年、会社の幹部から「このままではまずいぞ」と告げられます。

 MBAの卒業論文で、修正液市場についてリサーチ済みでしたから、その言葉の意味はすぐに分かりました。パソコンや修正テープの普及で先行き有望とは言えない。

 孝充さん…

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入山章栄

早稲田大大学院経営管理研究科(ビジネススクール)教授

 1972年生まれ。慶応大学経済学部卒業。米ピッツバーグ大経営大学院から博士号を取得。2013年に早稲田大大学院准教授。19年から現職。世界の経営学の知見を企業経営者やビジネスパーソンが実践できる形でわかりやすく紹介している。主な著書に「世界標準の経営理論」(ダイヤモンド社)など。