
菅義偉首相が日本の温室効果ガスを「2030年度までに13年度比で46%削減する」と4月22日に宣言し、国内の風向きががらりと変わりました。脱炭素化は日本企業にとっても経営の根幹となりつつあります。
欧州連合(EU)やアメリカが「2030年50%」を超える削減目標を掲げる中、日本も50%前後の目標を持たなければ、もはや世界経済の主流から締め出されてしまう、まさにぎりぎりのタイミングでした。
日本企業の間では、まだ戸惑う声も多くあるようですが、脱炭素が世界経済の主流となる中、日本の削減目標は、日本企業にとって成長の追い風になりえると思います。
政府が意欲的な目標を定めたことで、日本企業は脱炭素化へ向けた投資を判断しやすくなったことでしょう。さらに、脱炭素の産業を目指す方が、化石燃料に頼る旧来の産業より将来的には経済的に有利となっていくはずだからです。今回はその具体的な事例を二つお話しします。
政府目標が企業に投資を決断させる
一つ目は、政府の意欲的な削減目標が企業に投資の決断を促すケースです。長らく環境重視は産業活動を阻害すると、日本では信じられてきましたが、今はその逆です。産業界の方から、政府に高い目標を望む声が大きくなっているのです。
例えば日産自動車、ソニー、キリンホールディングスなどの企業や東京都などの自治体、非政府組織(NGO)といった650以上の団体が参画する「気候変動イニシアティブ(JCI)」というグループがあります。JCIは4月19日、208社もの企業を含む291団体が個社名を明記して、政府に「日本も2030年に45%超の削減」を要求しました。政府はその3日後に…
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