ニッポン金融ウラの裏

ATM障害を「企業風土」で語るみずほ社長の重大責任

浪川攻・金融ジャーナリスト
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一連のシステム障害についての記者会見で、記者の質問に答えるみずほフィナンシャルグループの坂井辰史社長(左)。右奥はみずほ銀行の藤原弘治頭取=2021年6月15日、吉田航太撮影
一連のシステム障害についての記者会見で、記者の質問に答えるみずほフィナンシャルグループの坂井辰史社長(左)。右奥はみずほ銀行の藤原弘治頭取=2021年6月15日、吉田航太撮影

 みずほフィナンシャルグループは6月15日、傘下のみずほ銀行で2~3月に起きたシステム障害に関し、弁護士らで作る第三者委員会の調査報告書を公表した。併せて危機管理部門強化など再発防止策と役員11人の報酬を減額する処分を発表した。しかし、この対応でみずほへの不信感が払拭(ふっしょく)できたかと言えば、まったくできていない。

 この日記者会見した坂井辰史・みずほフィナンシャルグループ社長は、改善すべき課題として「企業風土」という言葉を連発した。「これまでもやれることをやってきたが、まだまだ課題がある。企業風土の問題を克服したい」といった発言である。

 「企業風土」は不祥事を起こした企業の経営者が口にする常とう句だ。「企業風土」という言葉は曖昧で、抽象的な表現だ。とくに、経営者がこの言葉を強調するケースでは、個別責任の明確化を回避して、全体責任に転嫁していく思惑が見え隠れすることが多い。今回の坂井氏の発言は、その典型と言える。

「トップクラス」のはずが…

 みずほフィナンシャルグループの経営者はこれまで「日本でトップクラスのガバナンス(企業統治)態勢を構築した」と強調してきた。取締役12人の半数を社外取締役にし、外部の目で経営を監視する態勢を敷いた。取締役会に指名委員会など3委員会を設置してトップ人事の権限を持たせる「指名委員会設置会社」の制度も取り入れたという説明だ。

 だが、坂井氏の記者会見では、「トップクラスのガバナンス」を誇ってきた取締役会がなぜ機能しなかったのかという説明が、皆無に等しかった。

 具体的な点を二つ取り上げる。まず1点目。みずほ銀行では2018年にも現金自動受払機(A…

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浪川攻

金融ジャーナリスト

1955年、東京都生まれ。上智大学卒業後、電機メーカーを経て、金融専門誌、証券業界紙、月刊誌で記者として活躍。東洋経済新報社の契約記者を経て、2016年4月、フリーに。「金融自壊」(東洋経済新報社)など著書多数。