経済プレミアインタビュー

岩井克人氏に聞く「エルサルバドルのビットコイン法定通貨問題」

平野純一・経済プレミア編集部
  • 文字
  • 印刷
オンラインでインタビューに答える岩井克人さん
オンラインでインタビューに答える岩井克人さん

 中米のエルサルバドルが、暗号資産(仮想通貨)のビットコインを世界で初めて法定通貨に採用することを決めた。9月にも利用が始まる。値動きが激しい暗号資産を法定通貨にすることに問題はないのか。貨幣理論に詳しい、岩井克人・国際基督教大学特別招聘(しょうへい)教授に聞いた。【聞き手は経済プレミア編集部・平野純一】

 --エルサルバドルがビットコインを法定通貨に採用するというニュースを聞いて、最初に考えたことは何でしょうか。

 ◆岩井克人さん まず、賢明なことではないと思いました。ビットコインは今では「投機資産」となり、短期間で価格が激しく上下動しています。そのようなものを通貨、しかも法定通貨として使えば、一国の経済をものすごい混乱に陥れると思いました。

 --どのような混乱が考えられるでしょうか。

 ◆エルサルバドルは、米ドルも法定通貨なので、ビットコインとドルとの交換が問題になります。ドルはビットコインよりはるかに安定しているので、ビットコインが下がると予想すると、早くドルに替えておこうと人々はドルに殺到するでしょう。逆にビットコインが上がると予想すると、ドルをビットコインに替えようとします。この交換がスムーズに行われないと社会が混乱してしまいます。

ハイパーインフレすら引き起しかねない

 --市中では、激しいインフレやデフレが起きませんか。

 ◆考えられます。ビットコインが上がると予想すれば、誰も今は買い物をせずにビットコインを持っていようとするでしょう。するとモノは売れずにデフレになってしまいます。逆に、ビットコインが下がりそうになると、今のうちに買っておこうとお店に押しかけて、インフレを…

この記事は有料記事です。

残り2364文字(全文3062文字)

平野純一

経済プレミア編集部

1962年生まれ。87年毎日新聞社入社。盛岡支局、サンデー毎日編集部、経済部、エコノミスト編集部などを経て2016年から現職。金融、為替、証券、マクロ経済などを中心に取材。