東芝問題リポート

東芝大株主への“経産省の塩対応”は裁量行政の復活?

今沢真・経済プレミア編集部
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閣議後記者会見を行う梶山弘志経済産業相=2021年6月11日、経産省のホームページから
閣議後記者会見を行う梶山弘志経済産業相=2021年6月11日、経産省のホームページから

東芝と経産省の“闇”(3)

 東芝と経済産業省が一体で“物言う株主”に圧力をかけたと指摘した外部弁護士の調査報告書に対し、経産省はどう反応したか。梶山弘志経産相は記者会見で「経産省として当然のことを行っている」と繰り返し強調し、独自調査は必要なく、職員は国家公務員法の守秘義務違反にあたらないと語った。

 梶山氏は6月15日の閣議後記者会見で、「経産省はコーポレートガバナンス(企業統治)は重要と認識しており、一般論として個別企業に今回のような対応を行うことはない」と前置きした。そのうえで「国の安全の確保に欠かせない事業や技術の発達が損なわれる恐れがある場合には、個別企業への対応を行うこともある」と述べた。

 そして、東芝は福島第1原発の廃炉など、国の安全に関する事業に取り組んでいると指摘。東芝の筆頭株主である海外投資ファンドへの経産省側の対応は「東芝が担う重要な事業、技術の安定的な発達を図ろうとしたもので、当然のこと」と強調した。

 東芝の報告書に対しては「事実関係に疑問を持たざるを得ない箇所もある」「根拠が明確でなく、推論で書かれているところもある」と批判し、東芝社内の報告文書にすぎないと位置づけた。

同友会代表幹事「経産省にも説明責任」

 調査を行わないとする経産省に対しては、経済界から疑問の声が上がった。経済同友会の桜田謙悟代表幹事(SOMPOホールディングス社長)は15日の記者会見で、「東芝の取締役会、また経産省も当然ながら説明責任を負う」と述べた。そして「経産省の説明は必要と思っている。これをもってすべて終わりとはいかないくらいの深刻な話だ」と指摘した。

 こうした声を踏まえ…

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今沢真

経済プレミア編集部

1983年毎日新聞入社。89年経済部。日銀キャップ、財研キャップ、民間企業キャップを歴任。2013年論説委員。15年経済プレミア創刊編集長。19年から同編集部。16年に出版した「東芝 不正会計 底なしの闇」(毎日新聞出版)がビジネス部門ベストセラーに。ほかに「東芝 終わりなき危機」など。16~18年度城西大非常勤講師。