職場のストレス・マネジメント術

内勤から営業に異動で「適応障害?」30代女性の苦悩

舟木彩乃・産業心理コンサルタント・カウンセラー
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 西村さん(仮名、30代前半女性)は、不動産会社の管理部(15人)に所属する職歴10年目の社員で、入社以来ずっと同じ部で働いています。管理部の業務は、社員の勤怠や給与の管理などのルーティンワークが中心で、コツコツと仕事をするタイプの彼女にとって働きやすい職場でした。

会社の方針が大きく変更

 しかし、社長が代わり、従来のシステムや方針が大きく変更されました。電子化による新たなシステムが導入され、管理部の人員は半分以下に減らされました。西村さんは管理部に残ることを切望しましたが、社員にいろいろな業務や地域を経験させるという新たな方針の下、本社から地方支社の営業部門へと転勤になりました。

 異動後の仕事は分譲戸建ての販売でしたが、内勤しか経験がなかった西村さんは緊張の連続で、なかなか仕事になじめませんでした。

 上司のAさん(40代前半女性)は、そんな様子を見て気遣ってくれたようで、同僚と早く打ち解けられるようオンライン飲み会を頻繁に開いたり、休日には街を案内してくれたりしたそうです。ただ、もともと1人でいることを好む彼女は、Aさんの配慮に感謝はしたものの、次第に重く感じるようになり、同僚との距離感にも悩むようになりました。

 異動から2カ月が過ぎたころ、西村さんは出社前に腹痛がおきるようになり、遅刻が多くなっていきました。食欲や仕事への意欲もなくなり、突然涙が出てきたこともあったそうです。近所の内科で整腸剤などを出してもらいましたが、服薬しても治りませんでした。

新たな人間関係で疲弊

 このような状態は適応障害の可能性を考える必要があります。米国精神医学会が出している「精神疾患の分類と…

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舟木彩乃

産業心理コンサルタント・カウンセラー

 筑波大学大学院博士課程修了(ヒューマン・ケア科学博士)。一般企業の人事部などを経て、現在メンタルシンクタンク(筑波大学発ベンチャー企業)副社長。金融庁職員のメンタルヘルス対策にも従事する。国家資格として公認心理師、精神保健福祉士、第1種衛生管理者、キャリアコンサルタントなど保有。著書に「『首尾一貫感覚』で心を強くする」(小学館新書)。