なるほど電車ニュース

横浜みなとみらいに登場 ロープウエーの意外な輸送力

土屋武之・鉄道ライター
  • 文字
  • 印刷
水路上を通るヨコハマ・エア・キャビン=筆者撮影
水路上を通るヨコハマ・エア・キャビン=筆者撮影

 2021年4月22日、横浜市のみなとみらい地区に「ヨコハマ・エア・キャビン(YOKOHAMA AIR CABIN)」が開業した。日本初、世界最新の都市型循環式ロープウエーとのふれこみで、JR桜木町駅前から臨海エリアの運河パークまで、約630メートルを5分で結ぶ。

 桜木町駅はみなとみらい地区の玄関駅の一つ。運河パーク駅はみなとみらい地区にある観光・ショッピングゾーンの最寄り駅だ。今回は「都市内交通機関」としてのロープウエーについて考えてみたい。

登山用・観光用として普及

 ロープウエーは鉄道事業法に基づいて運営され、法律上は「索道」と呼ばれる。ロープにつり下げた多くの車両(搬器)が絶えず循環する「循環式」と、2台の搬器が交互に行き交う「交走式」の二つが主流だ。

 循環式にも2種類あり、一つはロープに搬器が常に固定されている「固定循環式」。もう一つは、駅への到着時に搬器を自動的にロープから放し、出発時に再び握る「自動循環式」だ。ヨコハマ・エア・キャビンはこれに該当する。

 日本では昭和初期からロープウエーの普及が始まったが、多くは山のふもとと山頂付近を結ぶ登山用・観光用だった。ロープウエーを都市内交通に用いた草分けは、1970年の大阪万博で会場内に設置された「レインボーロープウェイ」だろう。ほぼ平らな約870メートルの距離を7分半で結び、会場内交通の一翼を担った。

 海外にも都市での導入例がすでにある。「シンガポール・ケーブルカー」は、シンガポール島から海峡をまたぎ、レジャースポットとして有名なセントーサ島に至る。日本で言えば、よみうりランド(遊園地)と京王線よみうりランド駅を結ぶ「スカイシャトル」(99年開業)がこれに近い。

鉄道やバスではかなわない特性

 都市内交通にロープウエーを導入するメリットは、循環式なら待ち時間をかなり短くできる点だ。

 ヨコハマ・エア・キャビンでは現状、乗車待ちが発生しているようだが、これは開業したばかりで注目されている上、密対策で乗車人数に制限をかけているためだ。窓からの景色を楽しんでもらうために、ゆっくり運行しているのもあるだろう。

 だが循環式と…

この記事は有料記事です。

残り1146文字(全文2042文字)

土屋武之

鉄道ライター

1965年、大阪府豊中市生まれ。大阪大学で演劇学を専攻し、劇作家・評論家の山崎正和氏に師事。出版社勤務を経て97年に独立し、ライターに。2004年頃から鉄道を専門とし、雑誌「鉄道ジャーナル」のメイン記事などを担当した。東日本大震災で被災した鉄道路線の取材を精力的に行うほか、現在もさまざまな媒体に寄稿している。主な著書に「ここがすごい!東京メトロ」(交通新聞社)、「きっぷのルール ハンドブック」(実業之日本社)など。