海外特派員リポート

米のゼロ金利「2023年解除シナリオ」実現の条件は

中井正裕・北米総局特派員(ワシントン)
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米連邦準備制度理事会(FRB)本部=米ワシントンで2016年2月、清水憲司撮影
米連邦準備制度理事会(FRB)本部=米ワシントンで2016年2月、清水憲司撮影

 2023年にゼロ金利を解除し、政策金利の引き上げを2回行う――。米連邦準備制度理事会(FRB)は6月16日、新型コロナウイルスの感染拡大で悪化した景気を支えるため導入したゼロ金利政策を23年に解除するシナリオを示した。

 FRBは今回、ゼロ金利を解除する方針を正式に示したわけではない。ただ、FRBが公表した政策金利の予想分布図「ドットチャート」(図表1)の変化が、FRBが金融緩和の出口戦略に踏み出しつつあることを雄弁に物語った。このドットチャートとは何か。詳しく見てみよう。

金融政策のツール「ドットチャート」

 ドットチャートは、金融政策を決定する連邦公開市場委員会(FOMC)の参加メンバーが、それぞれ個人的に「適切」と考える今後3~4年の政策金利の分布を示す図表だ。

 正副議長3人、理事4人、地区連銀総裁12人の計19人(現在は理事が1人欠員のため18人)がFOMCの会合前に提出した予想をまとめたもので、FRBが毎年3、6、9、12月の年4回公表する「経済・金利見通し」で最も注目される項目だ。図表1の●で示した点(ドット)はFOMC参加メンバーの予想を示している。

 FRBがドットチャートを初めて公表したのは12年。08年のリーマン・ショック後に行ったゼロ金利政策の出口戦略を検討するなかで、金融緩和がどの程度続くのかの目安を示し、金融市場関係者が金融政策の先行きをイメージしやすくするのが狙いだった。

 ドットチャートは参加メンバーそれぞれの予想に過ぎず、FRBは「経済状況が変化すれば修正される。決定事項でも計画でもない」と念押ししている。それでも、市場はドットチャートの分布の中央値を事実上の…

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中井正裕

北米総局特派員(ワシントン)

1975年京都府生まれ。立命館大学法学部卒。2000年毎日新聞入社。岐阜支局、中部報道センターを経て、09年から経済部で電力改革、貿易交渉、日銀などを取材。政治部にも在籍し、首相官邸、自民党などを担当した。18年10月から現職。