高齢化時代の相続税対策

「表に出せないお金がある」税理士が相談を受けたなら

広田龍介・税理士
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 ある占師の先生によると「表に出せないお金があるが、どうしたらいいか」という相談が時々あるという。税務調査が怖くて、お金を使うことができなかったが、隠れ潜んでいるような生活にも疲れ果てた。なんとかこの状況から解放されたい――。そんな話を真顔でされるというのだ。

高齢で変わる「お金の考え方」

 表に出せないお金とは、いったいどんなお金なのか。占師の先生によると、脱税で蓄えた資金が大半だという。

 まず、親が亡くなり、その相続時に計上しなかった財産があるような人。また、法人・個人の事業で、売り上げから除外したり、架空経費を計上したりして、プールした資金があるというような人も多いようだ。

 事業で脱税をするような人は、たいてい商売熱心で仕事に対する上昇志向が強い。昼夜を問わず、がむしゃらに働くイメージだ。

 こうした人は、事業を拡大するためには、表に出せない支出も必要悪だと考えて、そのための資金をプールしようとする。最初は小さな金額でも、熱心に取り組むから、やがて大きな額へと膨れ上がる。

 だが、額が大きくなるほど、税務調査で脱税が暴き出されるのではないかという恐怖も大きくなっていく。

 さらに、高齢になると、お金に対する考え方も以前と変わってくる。

 若い時は、お金を稼ぐことばかりに夢中になっていても、年を重ねるうちに、人生をゆっくりと楽しみたいと思うようになる。また、1円でも多く稼いで蓄えるよりも、老後の充実した生活や、子の将来のために役立てるなど「お金をいかに使うか」に目が向いてくる。

 自分に万一のことがあった場合の相続が現実味を帯びてくることも大きい。将来、子に財産を移すことを考えれば、…

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広田龍介

税理士

1952年、福島県いわき市生まれ。85年税理士登録。東京・赤坂で広田龍介税理士事務所を開設。法人・個人の確定申告、相続税申告、不動産の有効活用などを中心に幅広くコンサルティング活動を続けている。相続税に関する講演やセミナーも開催している。