
東芝が6月25日に開いた定時株主総会は、通常の株主総会と異なる座席配置がされた。壇上の東芝役員の横に、弁護士3人が並んだのだ。3人は「東芝と経済産業省が一体となって“物言う株主”に圧力をかけた」と指摘した調査報告書の調査員だ。報告書に対しては経産省が「根拠が明確でない」などと批判しているが、3人は「批判は当たらない。事実認定を変更する必要はない」と強く反論した。
この日の株主総会の所要時間は2時間42分だった。事業報告や議案上程など会社側の説明は合わせて25分程度だったが、弁護士3人は42分かけて報告書の内容と結論を詳しく説明した。念を入れた説明だった。
経産相の批判「推論のところもある」
なぜ弁護士3人が調査報告書の説明にこれほど時間をかけたのか。それは、梶山弘志経産相が報告書に対して「事実関係に疑問を持たざるを得ない箇所もある」「推論で書かれているところもある」などと批判を強めているためだ。
東芝はこの日、120ページにのぼる報告書を出席株主の一人一人に配布した。弁護士3人が順次マイクを握り、3人目の中村隆夫氏が“物言う株主”に対する「圧力問題」について報告した。
中村氏は報告書のページをめくりながら、東芝幹部が経産省幹部に対して支援を依頼した内容を具体的に説明した。そして、経産省側が国家公務員の守秘義務に抵触しかねない行為をしたこと、改正外為法が「アクティビスト(物言う株主)の排除」を目的としていないのに、実際には排除しようとして動いていたと述べた。
弁護士と水野氏との面談
中村氏がとくに時間をかけて説明したのは、元経産省参与の水野弘道氏が東芝株を4%強保有していた…
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