ニッポン金融ウラの裏

五輪前「サイバー攻撃への対応は」金融業界が態勢強化

浪川攻・金融ジャーナリスト
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「ジャパン・スポーツ・オリンピック・スクエア」前の五輪マーク=東京都新宿区で2021年6月3日、大西岳彦撮影
「ジャパン・スポーツ・オリンピック・スクエア」前の五輪マーク=東京都新宿区で2021年6月3日、大西岳彦撮影

 東京五輪・パラリンピック開催まで1カ月を切った。新型コロナウイルス感染拡大の不安が払拭(ふっしょく)できていないとの指摘が強まっているが、開催を巡ってコロナ以外にも不安視されているものがある。サイバー攻撃である。大会関係機関以外も攻撃の対象になる恐れがあり、金融業界が標的になる可能性も否定できない。

 五輪・パラリンピック開催期間中にサイバー攻撃を受けて、預金の払い戻しが混乱するといったことが起きれば影響は大きい。金融システムに支障が生ずるようなことが起きれば、なおさら社会的な混乱に発展しかねない。金融業界は、東京大会の開催を見据えてサイバーセキュリティーの管理態勢を強化する取り組みを続けてきたが、大会を間近に控え、管理態勢の再確認を進めている。

繰り返された五輪開催国への攻撃

 過去の五輪・パラリンピックを振り返ると、開催国でたびたびサイバー攻撃が発生した。たとえば、2016年開催のリオ大会では、大会に関係する組織のウェブサイトや、公共工事を請け負った建設会社へのサイバー攻撃が繰り返されていた。12年のロンドン大会でも、大会公式サイトに悪意ある接続が頻繁に行われたという。

 わが国でも、五輪・パラリンピックにかかわらず、官公庁や大企業などを標的にしたサイバー攻撃が繰り返されている。2月から3月にかけて発生したみずほ銀行のシステム障害は、サイバー攻撃が原因ではなかったが、現金自動受払機(ATM)が広範囲にストップすると、平時でも大きな混乱が起きることが確認された。

 金融庁はかねて金融機関に対しサイバーセキュリティー態勢の強化を注意喚起してきた。ここにきて、金融業界に向け、改めて「…

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浪川攻

金融ジャーナリスト

1955年、東京都生まれ。上智大学卒業後、電機メーカーを経て、金融専門誌、証券業界紙、月刊誌で記者として活躍。東洋経済新報社の契約記者を経て、2016年4月、フリーに。「金融自壊」(東洋経済新報社)など著書多数。