東芝問題リポート

東芝不祥事の根源にある「独りよがりの価値観」とは

今沢真・経済プレミア編集部
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感染症の対策に配慮しながら開かれた東芝の株主総会=東京都新宿区で2021年6月25日、今沢真撮影
感染症の対策に配慮しながら開かれた東芝の株主総会=東京都新宿区で2021年6月25日、今沢真撮影

 東芝が6月25日に開いた定時株主総会で、取締役会議長を務めた社外取締役の永山治氏ら2人の再任が否決された。株主総会前に東芝は、外部弁護士の調査報告書を受けて別の社外取締役ら2人を「株主から信任を得ることは難しい」として取締役候補から取り下げている。合計4人の社外取締役が再任されない結果となった。

 社外の目で経営を監視する役割を担うはずだった社外取締役4人が、なぜ株主から信任されなかったのか。この日の株主総会で最初に質問に立った株主が、不信任の理由をズバリ指摘した。

 「今回の事態は2015年の会計問題と同じ香りがする。会計問題の延長で米原子力事業の巨額損失が生まれた。東芝の経営陣や社員が持つ『独りよがりの価値観』を修正できず6年もたつ。永山議長は、東芝が抱える問題を修正し指導できるのか」

 不正会計や、米原発事業の巨額損失、株主への圧力問題といった相次ぐ不祥事の根源に、東芝経営陣や社員の独りよがりで身勝手な考え方があるとの指摘だ。その間違った価値観を修正すべき社外取締役が、機能を果たさなかったと言うのだ。

過去の不祥事をたどると…

 この株主の指摘はうなずける点が多い。15年に発覚した不正会計問題は、当時の経営者が「こんな赤字を表に出すのは恥ずかしい」と損失のごまかしを部下に要求していた。社外取締役はその実態に気づくことができなかった。

 17年に破綻した米原発事業も同様だ。原発事業が“ドロ沼”に陥り、損失を抱えていたことは明らかだったのに、経営者は「原発事業は順調」と繰り返した。不正会計の反省から社外取締役は一新され、数も増えていたが、経営者の間違った考え方を修正できなかった。そ…

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今沢真

経済プレミア編集部

1983年毎日新聞入社。89年経済部。日銀キャップ、財研キャップ、民間企業キャップを歴任。2013年論説委員。15年経済プレミア創刊編集長。19年から同編集部。16年に出版した「東芝 不正会計 底なしの闇」(毎日新聞出版)がビジネス部門ベストセラーに。ほかに「東芝 終わりなき危機」など。16~18年度城西大非常勤講師。