熊野英生の「けいざい新発見」

米の「金融緩和縮小」でも日本株が下がらない理由

熊野英生・第一生命経済研究所 首席エコノミスト
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株価は堅調に推移するのか……(一時1000円以上値下がりした日経平均株価)=東京都中央区で2021年6月21日、内藤絵美撮影
株価は堅調に推移するのか……(一時1000円以上値下がりした日経平均株価)=東京都中央区で2021年6月21日、内藤絵美撮影

 米国のFRB(米連邦準備制度理事会)の政策変更によって株式市場が揺れている。6月21日には、日経平均株価が取引時間中に前日比で1000円以上急落した(終値は前日比953円15銭安)。

 “犯人”はFOMC(米連邦公開市場委員会)で、メンバーの政策金利見通しで2023年末に利上げを見込む人は、前回3月の見通しでは、全18人のうち7人だったのに、今回6月16日の見通しでは半数を超える13人になった。ハト派(金融緩和派)が多数を占めていると投資家たちは信じ込んでいたが、実際は意外にタカ派(金融引き締め派)が多く、不意打ちを食らった。

意外にタカ派が多かった……

 6月18日には、メンバーの一人で、ハト派と思われていたセントルイス連銀のブラード総裁が、最初の利上げを22年終盤に予想すると発言したことも驚きだった。米国の消費者物価の上昇ペースが加速していることで、メンバーたちはインフレ警戒をより重視するように変わってきている。3月のFOMCからわずか3カ月で超金融緩和の継続を早晩改めようという動きが顕著になったのである。

 米国の金融緩和の行方によって、株価が大きく下げることはまた今後も起きるだろう。FOMCのメンバーの考え方が、予想していた以上にタカ派である可能性は高く、物価や雇用などの経済指標が新たに発表されると、利上げの可能性が高まるのではないかと投資家が疑心暗鬼になるからだ。

 9月のFOMCでは再び政策金利の見通しが発表される。6月のFOMCでも、22年末の政策金利の引き上げを予想するメンバーは7人いたが、これが過半数の10人以上になると、利上げのタイミングは1年程度早まることにな…

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熊野英生

第一生命経済研究所 首席エコノミスト

1967年山口県生まれ。横浜国立大学経済学部卒業。90年、日本銀行入行。調査統計局などを経て、2000年、第一生命経済研究所入社。11年4月から現職。専門は金融政策、財政政策、金融市場、経済統計。