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中国で進む少子化「住宅も教育費も高騰」庶民の悲鳴

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出生数が4年で600万人減

 中国の出生数が4年で600万人減少したことが分かった。これは、中国国家統計局が5月11日に発表した第7回センサス(人口全数調査)の主要統計によって公表された2020年の出生数の数字から明らかになった。総人口は14億1178万人と大台を守り、「すでに人口減少が始まっているのでは」との臆測は否定されたが、一方で出生数は直近のピークである2人目出産が解禁された16年の1785万人に対し、今回発表された出生数は1200万人と激減、わずか4年で約600万人の減少となった(図)。

 新型コロナウイルスの流行を受け、世界の多くの国々で20年の出生数は減少している。日本も人口動態統計速報では前年比2・9%の減少だった。中国でもコロナが一定の影響を与えた可能性は高いが、出生率はコロナ前から減少傾向にあったことを踏まえると、パンデミック(世界的大流行)以外の要因が大きいとみるのが妥当だろう。

出生率は最悪の「1・1」

「実態はさらに深刻だ」──。オンライン旅行会社トリップドットコムの創業者にして、人口学者としても知られる梁建章氏は指摘する。梁氏によると、中国国家統計局は18年の出生数のうち、過半数が2人目以降の子どもだったと発表しているが、1人しか子どもを作らない家庭が中国では大半を占めることから考えれば「異常な数値」で、一人っ子政策の緩和を受けた2人目の子どもを産む「特需」があったと考えられるという。中国の19年の合計特殊出生率(1人の女性が一生に産む子どもの数に相当)は1・47だが、2人目出産のうち約50%を規制緩和に伴う特需と仮定した場合、実態の出生率は1・1前後にまで落ち込むと梁氏は推測する。これは韓国、台湾、シンガポールと並ぶ世界最悪の水準だ。20年の出生率はそこからさらに減少している。

 段階的な規制緩和という後手後手の対応を続けてきた中国政府も、センサスの結果には強い危機感を感じているようで、中国共産党中央政治局は5月末、「出生計画の改善と人口の長期的な均衡ある発展に関する決定」(「決定」)を決議した。3人目出産解禁に加え、各種の少子化対策を盛り込んだ意欲的な内容だ。

 決定は、「結婚、出産、養育、教育を一体的に検討し、結婚適齢期青年の結婚観、家庭観に関する教育を強化し、婚姻に関する悪習、高額結納金などの悪習を改める」「出産育児サービスの水準を向…

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