経済記者「一線リポート」

飲み放題やめちゃうの? キリンが明かしたその理由

松山文音・毎日新聞経済部記者
  • 文字
  • 印刷
多量飲酒の防止などを理由に飲み放題を中止したキリンシティ=東京都新宿区で6月2日、松山文音撮影
多量飲酒の防止などを理由に飲み放題を中止したキリンシティ=東京都新宿区で6月2日、松山文音撮影

 キリンホールディングス(HD)傘下のビアレストラン「キリンシティ」が、全国の店舗で提供していた飲み放題プランを終了したという。財布にやさしい飲み放題は庶民の味方だ。自らの商品をたくさん飲んでもらいたいはずの酒類メーカーがいったいなぜ――。そんな疑問をキリンHD役員にぶつけてみると、業界が直面する時代の変化が見えてきた。

「スロードリンク」を提唱

 新型コロナウイルス対策の緊急事態宣言の解除に伴い6月21日に営業を再開したキリンシティ新宿東口店。24日に店舗を訪れると、アクリル板の設置など感染対策が施された店内で、やや控えめにお酒と会話を楽しむお客さんたちの姿が目に付いた。全国のキリンシティ33店舗で、約40種類のお酒を楽しめる飲み放題プラン(税込み4000~6000円)が、メニューからひっそり消えたのは今年3月のことだ。

 「飲み放題パーティープランに代わる新たなプランのご紹介」として、同社ホームページに掲載されたお知らせにはこう書いてある。「『多量飲酒の防止』、『お客様に安心してご飲食いただける環境づくりの強化』、『スロードリンクの推進』の観点から、3月17日以降は、酒類の飲み放題を終了させていただくことといたしました」

 「スロードリンク」とは耳慣れないが、キリンシティ広報によると、キリングループが提唱するお酒の楽しみ方の一つで、「量を飲むのではなく人と語らい、食事とともにスマートに心地よく飲む、これからの時代の飲み方」を指すらしい。酒はほどほどに「メインディッシュはあくまで会話」といったところだ。

 記者は、大学時代から飲み放題にお世話になってきた。値段を気にせず、自分のペースで好きなだけお酒を楽しめる。ビールやハイボールは外せないが、メニューを見て、普段はあまり飲まない酒を選ぶのも楽しい。「飲む量や飲み方は、消費者に委ねてほしい。なぜ酒類メーカーが自ら酒の消費を抑えるようなことをするのか」。キリンHDの溝内良輔・常務執行役員(CSV担当)を訪ね、そんな疑問をぶつけてみた。

世界的に高まる飲酒リスクの意識

 「飲み放題は素晴らしいシステムです。食べ…

この記事は有料記事です。

残り1382文字(全文2268文字)

松山文音

毎日新聞経済部記者

 1994年大阪府生まれ。2016年入社。徳島支局を経て、21年4月から東京経済部。商社・流通など民間企業を主に取材している。