ニッポン金融ウラの裏

ネコもしゃくしもESG“名ばかり投信”まるでバブル

浪川攻・金融ジャーナリスト
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 ESGやSDGsを冠した投資信託商品が増え、人気を集めている。そのなかで、商品性の曖昧さを疑問視する声が広がってきた。なぜSDGsやESGをうたうのか、基準が曖昧だという指摘だ。

 ESGは「環境(E)、社会的な役割(S)、企業統治(G)」を重視する企業こそ、持続的な成長を期待できるという考え方だ。SDGsは国連が定めた持続可能な開発目標だ。この二つの要請を踏まえた企業行動が問われるなか、投資の尺度として取り入れたのがESGやSDGsの関連投信だ。

 金融庁の集計によれば、2017年以前にはESG関連投信の年間設定本数は1桁程度だったものの、2018年は27本、2019年は19本、2020年は33本と跳ね上がっている。なかには、短期間のうちに1兆円規模のファンドになっているケースもある。

明確でない「銘柄の選定基準」

 そうしたなかで問題視されているのが「銘柄の選定基準」の不明確さだ。どの商品も目論見書に「組み入れ銘柄は当社独自の基準で選定した」といった説明がある。ところが、具体的な評価・選定方法は開示されていない。

 目論見書には組み入れ上位銘柄が記載されている。そこに、ネット系企業ばかり並ぶケースがある。あるアセットマネジメント会社幹部は、「ESG関連というよりも、デジタル関連のテーマ型投信としたほうが妥当」と感想を漏らす。

 米国系アセットマネジメントのアナリストはこう指摘する。「ESG、SDGsへの取り組みが企業に強く要請されているが、それと個別企業の株価を一律に論ずることは難しい」。確かに「ESGに積極的に取り組めば、企業の収益力が向上し株価が上昇する」と簡単に言うことはで…

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浪川攻

金融ジャーナリスト

1955年、東京都生まれ。上智大学卒業後、電機メーカーを経て、金融専門誌、証券業界紙、月刊誌で記者として活躍。東洋経済新報社の契約記者を経て、2016年4月、フリーに。「金融自壊」(東洋経済新報社)など著書多数。