環境エネルギー最前線

「環境のノーベル賞」受賞の平田仁子氏に聞く石炭火力

川口雅浩・毎日新聞経済プレミア編集長
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「ゴールドマン環境賞」に選ばれた気候ネットワーク理事の平田仁子さん=東京都千代田区で2021年6月16日、前田梨里子撮影
「ゴールドマン環境賞」に選ばれた気候ネットワーク理事の平田仁子さん=東京都千代田区で2021年6月16日、前田梨里子撮影

平田仁子・気候ネットワーク理事に聞く(上)

 「環境分野のノーベル賞」と呼ばれる「ゴールドマン環境賞」を環境NGO「気候ネットワーク」理事の平田仁子(きみこ)さんが受賞した。ノーベル平和賞受賞者の故ワンガリ・マータイさんも受賞した権威ある賞だ。平田さんは気候変動対策として石炭火力発電所の建設にストップをかけた実績が評価された。なぜいま石炭火力に反対するのか、平田さんに聞いた。【聞き手は経済プレミア編集長・川口雅浩】

 ――今回の受賞は2011年の東京電力福島第1原発の事故後に全国で急増した石炭火力発電所の建設計画の一部を、NGOのリーダーとして中止に追い込んだことが評価されました。

 ◆平田さん 震災前は、先進国に温室効果ガス排出削減を義務づけた「京都議定書」によって「二酸化炭素(CO2)を大量に排出する石炭火力は建てるべきではない」という認識が日本国内の事業者にもありました。

 ところが原発事故後にいくつか政策変更が行われ、石炭火力をリプレース(建て直す)する場合は、環境アセスメントを迅速化するなど規制緩和が進みました。古い石炭火力を新しくするなら環境的にあまり悪くないからよいだろうという考えです。これは大きな方向転換でした。

原発事故と電力自由化で急増

 ――原発事故後、政府や経団連は「原発が止まると電力が足りなくなる、電気料金も上がる」と声高に主張しました。

 ◆震災後、電力コストが問題となり、火力発電の安い電力として天然ガスより石炭が選ばれるようになりました。

 さらに16年に電力自由化が進み、製鉄会社や製紙会社などの新電力が「安い電力」を供給するため、小規模な石炭火力の建設を…

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川口雅浩

毎日新聞経済プレミア編集長

1964年生まれ。上智大ドイツ文学科卒。毎日新聞経済部で財務、経済産業、国土交通など中央官庁や日銀、金融業界、財界などを幅広く取材。共著に「破綻 北海道が凍てついた日々」(毎日新聞社)、「日本の技術は世界一」(新潮文庫)など。財政・金融のほか、原発や再生可能エネルギーなど環境エネルギー政策がライフワーク。19年5月から経済プレミア編集部