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相次ぐ不正「トップダウン型か現場型か」三菱電機は?

今沢真・経済プレミア編集部
三菱電機本社が入るビルの看板=東京都千代田区で2021年6月30日、大西岳彦撮影
三菱電機本社が入るビルの看板=東京都千代田区で2021年6月30日、大西岳彦撮影

三菱電機・検査不正(2)

 ここ数年、名門企業で不正が相次いでいる。不正の中身は企業によって千差万別だが、分類すると「トップダウン型」と「現場型」に分かれるようだ。この「不正の類型」の視点で見ると、三菱電機で発覚した鉄道車両向け空調機器の検査不正は、「現場型」の典型例と言える。

 三菱電機の不正は長崎製作所(長崎県時津町)で少なくとも1985年から行われていた。出荷前の製品の検査を省いていたり、数値を偽装したりしていた。会社の説明によると、関係する部門の160人をヒアリングしたが、2割ほどが不正を知っていた。

 検査を適正に実施したように装うため、別の検査データを自動転載する「偽装プログラム」を90年から使っていた。不正発覚のきっかけは工場のシステム化だ。6月初めから検査工程のシステム化の調査をするなかで、不正検査が判明した。

生産現場で何代も

 ここ数年、企業で相次いで発覚した検査不正の大半は「現場型」に分類される。生産現場で何代にもわたって受け継がれ、表には出てこずに長く続くケースが多い。2017年に発覚した日産自動車の検査不正は90年代に常態化していたが、79年から不正が続いていた疑いがある。

 神戸製鋼所で多発した検査不正も、「40年以上前からやっていた」と元社員が証言している。いつから始まったか特定できないのは、当時の社員がすでに退職しており、経緯がわからないためだ。

 神戸製鋼の場合は執行役員3人が不正を知っていたことが明らかになっている。過去に工場の拠点長を務めていた時期に不正を知ったり、担当執行役員になって知ったりしたが黙認していた。三菱電機のケースでは、現時点では「…

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経済プレミア編集部

1983年毎日新聞入社。89年経済部。日銀・財研キャップ、副部長を経て論説委員(財政担当)。15年経済プレミア創刊編集長。19年から同編集部。22年4月に再び編集長に。同9月から編集部総括。16年に出版した「東芝 不正会計 底なしの闇」(毎日新聞出版)がビジネス部門ベストセラーに。ほかに「東芝 終わりなき危機」など。16~18年度城西大非常勤講師。