高齢化時代の相続税対策

2度のワクチン終え「米国へ」75歳女性の相続対策

広田龍介・税理士
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 東京都内在住のU子さん(75)は10年前に夫を亡くした。主な相続財産は、賃貸マンション1棟と金融資産で、マンション内にはU子さんが暮らす自宅もあった。相続人はU子さんと長女、次女の計3人。U子さんは老後資金と生活拠点が必要なため、マンションの建物を引き継ぎ、マンションの土地と金融資産については、法定相続分通り、U子さんが2分の1、長女と次女が4分の1ずつを相続した。

「孫の顔が見たい」だけでなく

 長女は結婚後、U子さんの自宅に近いマンションに住んでおり、よく顔を合わせている。

 一方、外資系企業に就職した次女は、仕事で知り合った米国人と結婚して、長らく米国で暮らしており、めったに会えなくなってしまった。

 次女には2人の子がおり、U子さんは以前から、米国に行って、ぜひ、孫の顔を見たいと思っているのだが、昨年から新型コロナウイルスの感染症が世界的に広がり、それもお預けになっている。

 6月末、U子さんはコロナワクチンの2度目の接種を終えた。米国は入国制限を緩和しており、日本政府も海外渡航者用にワクチン接種証明書を発行するという。U子さんは、ようやく米国に行ける見通しが立ってきたと喜んでいる。

 U子さんが、米国の次女家族の元を早く訪れたいと考えているのは、孫に会いたいことはもちろんだが、それだけではない。U子さんが考えている相続対策について、次女に詳しく伝えておきたいのだ。

「非居住者」の税務手続き

 U子さんは、相続税と所得税の対策を兼ね、賃貸マンションの建物をU子さん名義から法人名義に切り替えたいと考えている。まず、その点について、次女に説明するつもりだ。

 次女は、マンションの土…

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広田龍介

税理士

1952年、福島県いわき市生まれ。85年税理士登録。東京・赤坂で広田龍介税理士事務所を開設。法人・個人の確定申告、相続税申告、不動産の有効活用などを中心に幅広くコンサルティング活動を続けている。相続税に関する講演やセミナーも開催している。