産業医の現場カルテ

座り仕事の40代女性「いぼ痔とダイエット」意外な関係

佐藤乃理子・産業医・労働衛生コンサルタント
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 産業医である私は、あるメーカーに勤める事務職のA子さん(40代前半)から相談を受けました。A子さんは「最近、排便する際に出血することがあります。どうすればいいでしょうか」といいます。

いぼ痔と診断

 排便時の出血は、大腸がんなどの悪性腫瘍の疑いがあるため、すぐに消化器内科で精密検査を受けることを勧めました。そして後日、精密検査の結果が出たA子さんとオンラインで面談しました。

 精密検査の結果、大腸がんや炎症性腸疾患などは確認されませんでしたが、痔核(じかく)があるという診断でした。いぼ痔です。塗り薬で治療しているといいます。A子さんは悪性腫瘍ではないことにホッとする一方で、いぼ痔に関して主治医から注意されたことについて話しました。

 A子さんは「主治医から座ったままの長時間の作業を避けるように言われました。基本的に座って作業する仕事が多いので、今後は1~2時間に1回は席を立つことを意識するようにしていきます」と言います。

 私は、席を立ったときには軽いストレッチ運動をしたり、出社した場合は昼休みに会社の周囲を少しウオーキングしたりすることを提案しました。

便秘に注意

 また、A子さんは、便秘症に注意するように言われていました。「若いころから便秘症なんです。痔になるべくしてなったのだと思いました」と話します。

 便秘症で排便が不規則になると、便が硬くなります。そのため排便時に腹に力を入れなければならなくなり、その結果、いぼ痔が大きくなることがあります。

 そうして、いぼ痔からの出血が多くなることで、貧血を引き起こす可能性もあります。この点についても、主治医から指摘をされていました。

食事制限のダイエットはNG

 一方で、A子さんは、そもそも貧血に…

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佐藤乃理子

産業医・労働衛生コンサルタント

2002年、藤田保健衛生大学医学部卒業。泌尿器科医として病院に勤務しながら、がん治療薬の基礎研究にあたった。10年に厚生労働省健康局へ出向して臓器移植関連の政策に従事し、13年に北里大学医学部に所属し、同大学病院の医療マネジメント、経営企画に参画。15年に日本医師会認定産業医となり、複数の企業の嘱託産業医を務めてきた。20年4月に労働衛生コンサルタントを取得し、幅広く働く人の健康や職場環境の管理に関する相談を受ける。また、東京都檜原村で労働環境やライフスタイルのあり方を提案する「檜原ライフスタイルラボ」の共同代表を務める。