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英国の国民食「フィッシュ&チップス」で熱くなるワケ

横山三加子・経済部
英国の国民食、フィッシュ・アンド・チップス=英ロンドンで2019年11月、横山三加子撮影
英国の国民食、フィッシュ・アンド・チップス=英ロンドンで2019年11月、横山三加子撮影

 「英国の欧州連合(EU)離脱でフィッシュ・アンド・チップスはどうなるのか?」。これはEU離脱を巡るテーマの一つとして、英国で度々取り上げられてきた話題だ。そして今、英国でフィッシュ・アンド・チップス論争が再燃している。

 一体どういうことなのか。フィッシュ・アンド・チップスは白身魚のフライにフライドポテトを添えたシンプルな料理だ。味付けもシンプルすぎて正直物足りないが、塩や酢をかけたり、タルタルソースをつけたり、自分好みにアレンジして楽しむのが英国流だ。

マクドナルドより店舗多く

 英国フィッシュ・フライヤーズ連盟によると、英国にあるフィッシュ・アンド・チップスの専門店は1万500店で、マクドナルド(約1450店)の7倍以上の店舗数がある。年間3億8200万食が提供され、英国では金曜日に魚を食べる習慣があることから、週1回のペースで食べる人も2割以上に上るという。

 その結果、英国で収穫されるジャガイモの1割、英国で販売される白身魚の3割がフィッシュ・アンド・チップスとして使われているという。

 EU離脱で話題になったのは白身魚だ。フィッシュ・アンド・チップスに使われるのは60%超がタラ、25%がハドックと呼ばれるタラの一種(コダラ)だ。英国のソウルフードなのだから、英国で漁をしているのかと思いきや、実は大半が冷凍輸入されたものだという。

 冷凍切り身専門の英漁業団体によると、白身魚は一部の英国産を除き、ロシアやノルウェー、アイスランドなどから輸入している。「英国人はフィッシュ・アンド・チップスを楽しみながらも、多くの人は魚がどこから来ているかを知らない」と関係者は話す。

EU離脱…

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経済部

1981年、埼玉県生まれ。法政大学社会学部卒。2004年入社。岡山支局、大阪本社経済部を経て13年から東京本社経済部。電機・通信業界、経済産業省や財務省、財界などを担当。