熊野英生の「けいざい新発見」

コロナ後の成長戦略「インバウンド」どう位置づける?

熊野英生・第一生命経済研究所 首席エコノミスト
  • 文字
  • 印刷
新型コロナで人通りが激減した浅草=2020年4月15日、中村琢磨撮影
新型コロナで人通りが激減した浅草=2020年4月15日、中村琢磨撮影

 新型コロナウイルスの感染拡大で、サービス産業のどの業種が最も業績が厳しいのだろうか。総務省の「サービス産業動向調査」と経済産業省「第3次産業活動指数」で、2021年1~4月のデータを調べると、航空運輸▽旅行代理店(その他の生活関連サービス)▽宿泊業--などが下位にくる。やはり観光産業の打撃が深刻である。

5兆円弱の需要が消滅

 需要が減退している背景には、感染リスクの拡大によって国内旅行が減少していることがあるが、訪日外国人(インバウンド)需要がほぼ消滅している事情もある。19年の訪日外国人消費は4兆8135億円(観光庁)で、同年の旅行消費額27.9兆円の17%を占めていたが、コロナによってほぼゼロに落ち込んだ。

 今後、ワクチン接種が進むと、国内観光需要は戻ってくるだろうが、訪日外国人の受け入れは当分先のことになるだろう。インバウンド需要が戻ってこない分だけ、観光産業は過剰設備・過剰雇用を抱えた状態が続くことになる。

 観光関連産業の従業者数は約900万人だ。インバウンド需要が消え去ってしまったとすると、単純計算で900万人の17%に相当する約150万人が過剰雇用となってしまう。事業者が耐えられずに経営破綻すれば、この150万人が失業するか、非労働力化してしまう可能性がある。

GoToトラベルだけでは穴埋めできない

 今後の経済政策で考えなくてはならない課題は、ワクチン接種が21年末にかけて進んだとしても、以前の需要が戻ってこない産業があり、そこをどう支援し続けるのかということだ。

 ワクチンの接種率が高まると、外食需要は戻ってくるだろう。大規模イベントの収容人員は、かつてのよ…

この記事は有料記事です。

残り1082文字(全文1778文字)

熊野英生

第一生命経済研究所 首席エコノミスト

1967年山口県生まれ。横浜国立大学経済学部卒業。90年、日本銀行入行。調査統計局などを経て、2000年、第一生命経済研究所入社。11年4月から現職。専門は金融政策、財政政策、金融市場、経済統計。