赤間清広の「ちょっと寄り道」経済ニュース

さよなら1円玉?分かれるお金の「勝ち組と負け組」

赤間清広・毎日新聞経済部記者
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キャッシュレス決済が進み、新規製造が事実上ストップしている1円玉
キャッシュレス決済が進み、新規製造が事実上ストップしている1円玉

 新型コロナウイルス禍をきっかけに、日本でもキャッシュレス決済が定着し始めた。そのあおりを受けたのが1円玉だ。2021年度は100万枚の製造が計画されているものの、「すべてコレクション向けの『貨幣セット』用」(財務省)。事実上、新規製造がストップしている状況だ。

 「キャッシュレス化で現金はなくなっていくのか」と思いきや、さにあらず。現金全体の流通量は逆に増加の一途をたどっているという。現金の「いま」を調べていくと、紙幣や貨幣(硬貨)の「勝ち組」「負け組」が見えてきた。

「勝ち組」1万円札、500円玉

 市場に流通している紙幣や貨幣の規模は日本銀行が「マネタリーベース」という統計で調査している。20年末の紙幣の流通高は118兆3282億円、貨幣は5兆528億円。00年末と比べると紙幣は約2倍、貨幣は約1・2倍に増えている。キャッシュレス化が進む現在も右肩上がりの状況だ。

 「背景にあるのは日銀の超低金利政策。銀行にお金を預けても利息がほとんど増えないため、現金を家で保管する『タンス預金』が増えている。これが現金の流通量を押し上げているとみられます」

 こう解説するのはニッセイ基礎研究所の上野剛志・上席エコノミストだ。

 現金は、市場の流通高は分かっても、実際にどう使われているかは記録に残らず追跡しづらい。実際にタンス預金が増えているかどうかを検証するのも難しいが、上野氏によると、現金の種類ごとに流通量を追うことで、ある程度の推測は可能だという。

 現金の中でも、増加が特に著しいのが1万円札。この20年で流通高は1・9倍となり、現金の流通高を押し上げる主因となった。ちなみに5000円札の増加率は1・5倍、1000円札は1・3倍で、1万円札の急増ぶりが際立つ。

 貨幣を見てみよう。こちらも紙幣同様、もっとも額面が大きい500円玉が1・6倍となっている…

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赤間清広

毎日新聞経済部記者

 1974年、仙台市生まれ。宮城県の地元紙記者を経て2004年に毎日新聞社に入社。気仙沼通信部、仙台支局を経て06年から東京本社経済部。16年4月に中国総局(北京)特派員となり、20年秋に帰国。現在は霞が関を拠点に、面白い経済ニュースを発掘中。新著に「中国 異形のハイテク国家」(毎日新聞出版)