藻谷浩介の世界「来た・見た・考えた」

世界一危険?エルサルバドル首都で夜にタクシー交渉

藻谷浩介・地域エコノミスト
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サンサルバドルの場末のバスターミナル周辺。左側のタクシーのおかげで助かった(写真は筆者撮影)
サンサルバドルの場末のバスターミナル周辺。左側のタクシーのおかげで助かった(写真は筆者撮影)

中米バスの旅編(3)

 コロナ禍直前の2020年1月初旬、中米を国際バスで縦断する筆者は、ニカラグアの首都マナグアを朝5時発のバスで出た。これから通るホンジュラスも、夜8時に着く予定のエルサルバドルも、犯罪の多さで悪名高い。不安と「これまでの経験からいっても、言われているほどではないに違いない」という楽観とが、心中に交錯する。

ニカラグアからエルサルバドルへ

 午前8時前後に15分ほどの朝食休憩を挟み、バスはニカラグアの国道1号線を北北西に走る。ホンジュラスに抜ける国境ゲートに着いたのは、10時前だった。

 このバスはエルサルバドルの首都サンサルバドル行きなので、ホンジュラスは150キロほどを2時間半走って通過するだけだが、国境のチェックはきちんとある。ニカラグア出国時には、出国税8米ドルの徴収と、係官による荷物検査。ホンジュラス入国時には、窓口の機械に両方の親指を当てての、指紋登録。合計で1時間15分かかった。

 さて午前11時からホンジュラス国内の走行となる。沿道の家には、ニカラグアよりも立派なものが増えたが、ニカラグアでは見かけなかったごみの大量投棄や路面の穴が、荒れた国情を示していた。

 この国の1人当たり国内総生産(GDP)はニカラグアより3割程度高いが、コスタリカに比べれば5分の1であり、貧富の差も大きい。中米からメキシコ経由で米国への密入国を図る人の多さは有名だが、ホンジュラスはグアテマラと並んでその主要な発地と言われる。

 しかし、このバスが走るのは同国の田舎であり、沿道でローカルバスを待ったり、憩ったりしている大勢の人の表情は、普通に明るかった。雰囲気はどこか、アフ…

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藻谷浩介

地域エコノミスト

1964年山口県生まれ。平成大合併前の約3200市町村のすべて、海外114カ国を私費で訪問し、地域特性を多面的に把握する。2000年ごろから地域振興や人口問題に関して精力的に研究、執筆、講演を行う。著書に「デフレの正体」「里山資本主義」ほか多数。国内の鉄道(鉄軌道)全線を完乗した鉄道マニアでもある。