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「会社員だけど起業したい!」二刀流で見えてきたこと

松岡大地・毎日新聞経済部記者
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ロート製薬社員でありながら、クラフトビール店の代表を務める市橋健さん=奈良市内で2021年6月、松岡大地撮影
ロート製薬社員でありながら、クラフトビール店の代表を務める市橋健さん=奈良市内で2021年6月、松岡大地撮影

 会社員として働きながら起業する。創業120年を超えるロート製薬(大阪市)が社員の「二刀流」を後押しする試みを始めている。社員が挑戦するのは、クラフトビールにオンライン料理教室、サングラス製造販売……。あれ? 会社で働いているだけでは得られない経験を積んでほしいということらしいが、それにしても本業からあまりに遠く離れているような。どういうことなのだろう。まずは「二刀流」を始めた社員たちを取材することにした。【毎日新聞経済部・松岡大地】

社員をしながらクラフトビール店経営

 6月下旬、週末の昼下がり。日本有数の観光地、奈良公園から5分ほどの場所にある奈良市の「ゴールデンラビットビール」を訪ねると、約20席あるお店はほぼ満席だった。

 お目当ては、奈良のいちごを使った「あすかびーる」など、地元の素材にこだわったクラフトビール。「良い香りがするでしょう」。市橋健さん(40)が元気に接客をしていた。

 市橋さんはこのお店の代表を務める経営者だが、平日はオフィスに出勤するロート製薬の社員だ。工場で医薬品製造を担当していた2010年、奈良で開かれた「平城遷都1300年祭」のイベント会場に地ビールがないことに気付いた。それが最初のきっかけだった。

 「奈良にも地ビールがあったらいいなあと思いました。そもそもビールってどうやって造るんやろうっていう好奇心でしたね」。会社のまとまった休みに醸造所にボランティアで手伝いに行き、会計なども独学で勉強した。14年に奈良市主催のビジネスコンテストで優勝。そんな中、16年に社内の人事制度改革で副業が解禁されることになり、…

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松岡大地

毎日新聞経済部記者

1989年岩手県生まれ。青山学院大卒。地元のテレビ局勤務を経て、2014年9月、毎日新聞社入社。静岡支局を振り出しに19年5月から東京経済部。これまで証券、メガバンク、自動車業界を担当。現在は特定の担当を持たずにさまざまなテーマを取材する遊軍。