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男性の育休取得「なぜ7月末に集中?」もっともな理由

井寄奈美・特定社会保険労務士
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 A夫さん(32)は、従業員数約500人の会社の総務部に勤めています。会社は、数年前から男性社員の育児休業取得率の向上に取り組み始めました。総務部は、男性社員から子供の誕生の連絡を受けると、育休を取得するかどうかを必ず確認しています。これが功を奏してか、対象者の半数以上が育休を取るようになりました。ただ、A夫さんは、育休の取り方にあるパターンがあることが気になっています。

ボーナス月の月末に育休が重なる

 男性社員の育休の期間は、数日から数カ月まで人によって異なります。大半の人は、配偶者の出産直後か、里帰り出産した配偶者が自宅に戻るタイミングで取ります。他に、子供の保育所が決まり、配偶者が職場復帰するタイミングというケースもあります。

 ただ、数年前から会社のボーナス(賞与)支給月の7月に、月末を挟んで1~3日程度の育休を取るパターンが増えています。A夫さんは当初「たまたま重なったのだろう」と考えましたが、その後も一定の人が同じタイミングで育休を取り、中には子供が生まれるたびに取るケースもありました。

 育休を取るかどうかや、その期間と取得時期については社員が決めることで、会社が指示することではありません。ただ、A夫さんは、数日の休みでは「育児に携わるため」という本来の趣旨に合っていないように感じています。一方、このパターンで育休を取る背景には、育休中の社会保険料免除の仕組みがあるからだろうと考えています。

育休と社会保険料免除の仕組み

 男性の育児休業と、育休中の社会保険料免除の仕組みについて説明します。

 育児・介護休業法は、1歳未満の子供を育てる働く人は男女問わず、会社に申し出ることで育休を取得できると定めています。保育所に入れないなどの事情がある場合、最長2歳になる前日まで育休を延長できます。

 現在、育休は1人の子供につき原則1回となっています。ただし、男性が配偶者の出産後8週間(産後休業中)に育休を取得した場合、再度育休を取ることができます。また、夫婦がともに育休を取る場合、育休の期間は、子供が1歳2カ月に達するまでに延長できます。

 育休中は会社に賃金の支払い義務がないため、無給とする会社が多く、働く人は雇用保険制度の育児休業給付金を受給します。給付金は休業開始から6カ月は休業1カ月当たりおおよそ賃金の67%、それ以降はおおよそ50%です。1日当たりの場合は「月給額÷30(日)×67%」となります。

 また、年金事務所に育休の届け出をすることで、社会保険料(健康保険料、介護保険料、厚生年金保険料)が免除になる仕組みがあります。月末が育休中である場合に、その月の…

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井寄奈美

特定社会保険労務士

大阪市出身。2015年、関西大学大学院法学研究科博士前期課程修了。現在、大阪大学大学院法学研究科博士後期課程在籍中(専攻:労働法)。01年、社会保険労務士資格を取得。会計事務所勤務などを経て06年4月独立開業。井寄事務所(大阪市中央区)代表。著書に『トラブルにならない 小さな会社の女性社員を雇うルール』(日本実業出版社)など。http://www.sr-iyori.com/