海外特派員リポート

気分は観光客?「中国共産党式典」で見た参加者の素顔

小倉祥徳・毎日新聞中国総局(北京)特派員
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中国共産党創設100年を記念する祝賀大会の開始前、会場入りする音楽隊=北京市の天安門広場で2021年7月1日、小倉祥徳撮影
中国共産党創設100年を記念する祝賀大会の開始前、会場入りする音楽隊=北京市の天安門広場で2021年7月1日、小倉祥徳撮影

 中国共産党の創設100年を記念する祝賀大会が7月1日、北京の天安門広場で開かれた。演説した習近平党総書記(国家主席)は、対立する米国などを激しい言葉でけん制し、集まった約7万人から歓声が上がった。

 こうした様子を中国メディア経由のテレビニュースで見た日本の知人からは「中国はやはり独裁国家なのか?」と驚かれたが、会場を取材した私が受けた印象は少々違ったものだった。私が取材した式典の一部始終を紹介しよう。

 私を含む外国人報道陣が会場入りしたのは当日の午前5時ごろだった。その前後から、一般の市民から選ばれたとみられる式典の参加者が続々と詰めかけ、6時ごろには席の8割方は埋まっていた。

 式典前までは会場内の自由な移動が許されていたため、合唱団の練習風景などを間近で取材しようと歩いていると、来場した参加者から「写真を撮ってくれないか」と呼び止められた。

 報道陣以外はカメラはおろかスマートフォンの持ち込みも許されなかったためで、私が撮影に応じると、続々と記念写真の撮影依頼が相次いだ。参加者はまるで「観光客」のようだった。

前日深夜から集合

 そのうち2人に話を聞くと、前日深夜から当日の未明にかけて職場に集合し、そのまま大型公園に移動してバスで午前4時ごろ会場入りしたのだという。

 私たち記者団も、新型コロナウイルスの感染防止のため、当局指定の市中心部のホテルに前日午前にチェックイン。敷地外に一歩も出られない「隔離」状態に置かれた末、当日午前3時にホテルを出発。眠い目をこすりながらの取材となったが、記者団と同じく徹夜を余儀なくされた参加者も多かったとみられ、式典前には席で居眠りする姿も目についた。

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小倉祥徳

毎日新聞中国総局(北京)特派員

東京都生まれ。2001年入社。秋田支局を経て06年から東京経済部で財務省、内閣府、経済産業省、国土交通省、日銀、証券、エネルギー業界などを担当。17~19年には中部本社でトヨタ自動車などを取材した。東京経済部、外信部を経て20年10月から経済担当の中国総局(北京)特派員。