ニッポン金融ウラの裏

オレオレ詐欺「次の標的」はネットバンキング!?

浪川攻・金融ジャーナリスト
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 銀行業界ではインターネットバンキングの利用拡大を目指す動きが加速中だ。窓口や現金自動受払機(ATM)で送金するより格段に安い手数料を設定するなど、サービスの充実に努めている。また、操作しやすい画面作りにも工夫を凝らしている。だが、その一方では気掛かりな出来事も起きている。オレオレ詐欺である。

被害額は下げ止まり?

 オレオレ詐欺は従来、キャッシュカードをだまし取ったり、ATMで送金させたりする形態で行われてきた。警察庁の統計によると、オレオレ詐欺を含む特殊詐欺事件は2020年に1万3550件(前年比19.6%減)、被害額は約285億円(9.7%減)だった。

 件数や被害額はここ数年、減少傾向が続いてきた。警察当局の捜査強化に加え、だまされた預金者がATMを利用して送金や引き出しをする寸前で、金融機関が「水際対応」に努め、被害を食い止めてきたと言える。職員は来訪者のささいな気配に気を配り、異常な雰囲気を察知しようとしてきたが、それが効果をあげている。

 ところが、今年度に入って下げ止まりから上向き傾向をたどり始めたように見える。特殊詐欺の4、5月の月間件数、被害額はいずれも前年同月を上回っている。

ネット口座を勝手に開設

 そうしたなか、最近、確認された新たな犯罪形態がインターネットバンキングの悪用である。高齢者などに電話し、子供だとウソをついて「急にカネが必要になった」と迫るパターンは従来のオレオレ詐欺と同様だ。ここからが新たな手口になる。

 相手から必要な情報を聞き出し、インターネットバンキングによる新規契約を結び、ネットを通じてやすやすと多額の不正送金をし、おカネをだまし取って…

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浪川攻

金融ジャーナリスト

1955年、東京都生まれ。上智大学卒業後、電機メーカーを経て、金融専門誌、証券業界紙、月刊誌で記者として活躍。東洋経済新報社の契約記者を経て、2016年4月、フリーに。「金融自壊」(東洋経済新報社)など著書多数。