
アジアのメガシティーこぼれ話編(1)
2019年8月初旬。モンゴルの首都ウランバートルに向かった筆者は、乗り換え地の北京に1泊し、翌日に4時間ほど、若者や観光客に人気の新興繁華街2カ所を歩いてみた。経済力、軍事力、技術力を伸長させる中国だが、消費文化面での発信力は、どの程度まで伸びてきているのだろうか。
空港から雍和宮駅へ
東京から北京へのフライトは所要4時間。ちょうど中間あたりでソウルの上空を通る。北京は広大な範囲に薄く広がる町で、同じ面積で人口を比べれば、東京首都圏の半分くらいの規模だ。
8月の北京は、東京に比べれば蒸し暑くはなく、大気汚染もかつてより大幅に改善され、爽やかに晴れていた。
北京首都国際空港から、南西に25キロほどの都心へは、地下鉄空港線で30分、420円だ。北京には東京のJRや私鉄各社のような地上の通勤鉄道網はないが、内と外と二重の環状線を持つ世界最大級の地下鉄網があり、空港線の都心側のターミナル東直門駅は、その内側の環状線(2号線)に接続している。元・明(三代永楽帝以降)・清の3王朝の帝都だった時代に築かれた城壁の跡である、環状の大通りの下を18駅で1周する路線だ。
ちなみに町自体の歴史はずっと古く、たとえば三国志の時代には公孫瓚の拠点であり、劉備玄徳もこの近くで生まれている。
筆者は東直門駅から北西に1駅、雍和宮駅まで乗車した。北京の地下鉄は駅間距離が長く、特に両駅間は2キロ以上もあるが、料金は50円なのでお値打ちだ。
「五道営胡同」には共同住宅も残る
雍和宮は清朝時代(日本では元禄時代)に建てられたチベット仏教寺院である。中国史上の最大版図を実…
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