経済プレミア・トピックス

アイデア続々月800点も スリーコインズの舞台裏

井口彩・大阪本社経済部記者
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食料品や小型家電まで取り扱っている「スリーコインズプラス」=大阪市中央区で2021年7月13日、菱田諭士撮影
食料品や小型家電まで取り扱っている「スリーコインズプラス」=大阪市中央区で2021年7月13日、菱田諭士撮影

スリーコインズの舞台裏(上)

 キッチンやインテリア用品、雑貨などを幅広く取りそろえる300円ショップ「スリーコインズ」(通称・スリコ)。毎月700~800点もの新商品が発売されるという。その旺盛な商品企画力はどこから生まれるのか。「バイヤー」と呼ばれる担当社員3人を直撃すると、「デバイスの分野はアマゾンがライバル」「300円均一に見られたくない」など意外な本音が漏れ、アイデアあふれる“失敗作”の存在も教えてくれた。ネット販売の王者も意識しつつ、変革を続けるスリコの舞台裏を2回にわたって報告する。【毎日新聞大阪経済部・井口彩】

 <スリーコインズは1994年、大阪市のアパレル会社「パル」(現在のパルグループホールディングス)が阪急・大阪梅田駅に近い同市北区茶屋町に出店したのが始まり。100円ショップよりデザイン性や機能性を高めた商品を扱う店を作りたいという社内提案を受け、同社初の雑貨事業としてスタートした。2013年に100店を突破し、7月末現在で全国に220店を構えている。

 当初は食器やキッチン雑貨などが中心だったが、徐々に収納用品や洗濯グッズといったジャンルにも拡大。現在は商品全体の9割を自社で開発している。分野ごとに商品の企画やメーカーへの発注を担っているのが13人の「バイヤー」たちだ。このうち、知育玩具などのキッズ用品やキッチン用品を担当する松村薫さん(39)と、イヤホンなどの「デバイス」と食品を担当する升川拓さん(32)に最近のヒット商品について聞いた>

ワイヤレスイヤホンは70万個のヒット

 ◆松村 アイスクリーム・コーンやスコップなどの形をした砂遊びセット(550円)は2週間で完売する人気で、再入荷しました。砂遊びセットは毎年人気ですが、今回のようにくすんだ色合いは初めて。子供の遊び道具は赤や緑などの原色や派手なピンクのものが多いですが、強い色より落ち着いた色の方がいいかなと思いました。私には4歳の息子がいますが、子供の物って家ですぐに散らかります。くすんだ色の方が散らかっていてもまだ許せるし、片付けなくてもいいと思えるので……(笑い)。

 ◆升川 昨年3月に発売した「ワイヤレスステレオイヤホン」(1650円)は70万個以上を売り上げています。左右のイヤホンをつなぐケーブルもない商品で、同じスペックの相場は大体4000円くらい。スリーコインズらしい安い価格帯で作れないかと、ずっと前から目を付けていました。

デバイスのライバルはアマゾン

 <ワイヤレスイヤホンは、財布のひもが固そうな記者の男性上司(49)も愛用し、ネットでも話題になっていた。スリーコインズの店舗に行くと、「これがこの価格で手に入るの?」と驚きを感じるが、どうやって低価格を実現しているのだろう>

 ◆升川 僕はライバルは(ネット通販大手の)アマゾンさんだと思っています。…

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井口彩

大阪本社経済部記者

 2017年毎日新聞社入社。新潟支局を経て2021年4月から大阪本社経済部。埼玉県出身。