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JR東日本がE131系投入「ただの世代交代」ではない理由

土屋武之・鉄道ライター
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国府津車両センターへ向かう完成したばかりの相模線用E131系
国府津車両センターへ向かう完成したばかりの相模線用E131系

 E131系はJR東日本の最新鋭車両だ。2021年3月から千葉県南部の房総地区などで運転が始まったのに続き、21年秋ごろには相模線に、22年春ごろには宇都宮線(小山―黒磯間)と日光線にも投入予定となっている。相模線用のE131系は21年7月末現在、完成した車両が配置基地である国府津車両センターに次々と送り込まれており、試運転も始まった。

 これまで東京近郊のローカル線区では、都心の通勤電車で10~20年ほど使われた車両を改造し、使用するケースが多かった。ところがE131系は都心での運用を経ず、複数のローカル線区にいきなり投入されることになった。ここにJR東日本の長期的な戦略を見ることができる。

柔軟な編成が可能

 E131系は片側4扉で車内はロングシートが基本。車体は山手線用のE235系と共通の設計で、最短2両から運転可能な走行システムが最大の特徴だ。朝夕の混雑時には1編成の車両数を増やし、乗客が少ない日中には車両数を減らすといった柔軟な運用ができる。

 房総地区では、4両以上の編成しか組めない209系に代わって日中は2両編成のE131系を入れ、内房線の木更津―安房鴨川間と外房線の上総一ノ宮―安房鴨川間で分かれていた運転系統を統一した。木更津―上総一ノ宮間を直通運転にすることで、乗客の利便性向上と経費削減、効率化を図ったのだ。

 背景には、旧型車両を使い続けるより、省エネ性能にすぐれ、運行経費が安い最新型電車を入れた方が、結局は経済的というJR東日本の判断もある。

 一方、相模線向けのE131系は4両編成、宇都宮線・日光線向けは3両編成が基本だが、やはり時間帯によって車両数は調整すると思われる。どうなるにせよ、簡単に1編成の車両数を変えられるE131系の特徴が大いに生かされるだろう。

「ワンマン運転」用の設備も

 E131系は「ワンマン運転」用の設備を持っているのも特徴で、房総地区ではすでに実施している。相模線などでも投入後のすみやかな移行を想定しているとみてよい。ワンマン運転化は、都心部を走る京浜東北線などでも検討に入っていることが報道されたが、目先の経費削減だけでなく、少子…

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土屋武之

鉄道ライター

1965年、大阪府豊中市生まれ。大阪大学で演劇学を専攻し、劇作家・評論家の山崎正和氏に師事。出版社勤務を経て97年に独立し、ライターに。2004年頃から鉄道を専門とし、雑誌「鉄道ジャーナル」のメイン記事などを担当した。東日本大震災で被災した鉄道路線の取材を精力的に行うほか、現在もさまざまな媒体に寄稿している。主な著書に「ここがすごい!東京メトロ」(交通新聞社)、「きっぷのルール ハンドブック」(実業之日本社)など。