藻谷浩介の世界「来た・見た・考えた」

ジャカルタに「山手線の中古車両」藻谷氏の見聞録

藻谷浩介・地域エコノミスト
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ジャカルタ市民の足として定着しているJR東日本からきた205系電車(写真は筆者撮影)
ジャカルタ市民の足として定着しているJR東日本からきた205系電車(写真は筆者撮影)

アジアのメガシティーこぼれ話編(2)

 日本の本州は、地球上の大きめの島の中では屈指に人口密度が高いが、それを上回るのがインドネシアのジャワ島だ。本州の6割弱の広さ(関東+中部+関西程度)に、日本と同じだけの人口が住む。そのジャワ島の中心都市で、首都のジャカルタは渋滞で悪名高い。日本の援助で都市鉄道の近代化を進めているが、その成果を見に出かけてみた。

都市圏人口3000万人の通勤鉄道網

 2019年12月初旬。新型コロナウイルスの蠢動(しゅんどう)にまだ気づかぬ筆者は、インドネシアのジャカルタに、現地2泊の弾丸旅行に出かけた。都市圏人口3000万人以上と、世界屈指のメガシティーであるこの町は、渋滞で有名だ。しかし最近ついに国際空港への鉄道アクセスができ、地下鉄も1路線開通したという。

 羽田からの直行便で8時間。夕方5時前にジャカルタのスカルノハッタ国際空港に着いた。国際線の発着するターミナル3から、鉄道駅のターミナルへは、スカイトレインという無料の新交通システムで7分。しかし運転間隔は、26分おきという中途半端かつ不便なもので、前の電車を目の前で逃したために、25分間をホームで、パソコンで原稿を書きながら待つ羽目になった。車両は韓国の宇進産電製だった。

 鉄道ターミナルは真新しく、都心まで30分おきに出る列車は、所要45分で500円少々と便利なのだが、何とも接続の良くないことに、次の便は26分後である。スカイトレインの次の便で来れば、またちょうど間に合わないわけだ。

 ジャカルタには、都心から西、西南、南、東に向けて走る、総延長220キロ程度の通勤鉄道網があり、都心では環状線に縦…

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藻谷浩介

地域エコノミスト

1964年山口県生まれ。平成大合併前の約3200市町村のすべて、海外114カ国を私費で訪問し、地域特性を多面的に把握する。2000年ごろから地域振興や人口問題に関して精力的に研究、執筆、講演を行う。著書に「デフレの正体」「里山資本主義」ほか多数。国内の鉄道(鉄軌道)全線を完乗した鉄道マニアでもある。