
総選挙敗北なら自民大混乱
「やはり支持率が高かった首相就任直後に衆院解散・総選挙に踏み切るべきだったのか」……。
菅義偉首相は今、そんな思いにかられているかもしれない。
言うまでもなく、今年後半の国内政治の焦点は、秋までには必ずある衆院選と自民党総裁選だ。衆院議員の任期満了は10月21日。体調を理由に昨秋、退陣した安倍晋三前首相(前総裁)を引き継いだ菅首相の自民党総裁としての任期は9月末までとなっている。
長期政権の道を開くのか。短命に終わるのか。首相の命運はこの二つの政治決戦にかかる。
では、どんな日程で菅首相は決戦に臨むのか。実際には選択肢は日に日に狭まり、首相は追い込まれ始めていると見ていい。
安倍前首相がそうだったように、歴代自民党首相のほとんどは、政権与党にとって最も都合のいい時期を選んで衆院を解散し、総選挙に臨んできたものだ。
一方、菅首相は「まず実績を上げる」と解散のそぶりさえ見せてこなかった。新型コロナウイルス対策を優先せざるを得なかったのも確かだろう。だがそれを承知しながらも、自民党内から相次いでいるのは「解散の時期を逸してしまった」という声だ。
三つの筋書き
菅首相は次のような筋書きを描いていると思われる。
(1)内閣支持率は低迷しているものの、実際に東京五輪が始まれば、新聞やテレビは「ニッポン頑張れ!」一色となって、世間のムードは変わるはずだ。
(2)コロナ対策も、ワクチン接種が広がれば、人々の評価は変わる。
(3)そこで衆院を解散する。衆院選で自民、公明両党が一定の議席を確保すれば、自民党総裁選で無投票での再選が確実となる。
有力視されているのは、パ…
この記事は有料記事です。
残り1698文字(全文2394文字)