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世銀も注目「新潟の芸術祭」が世界規模となったワケ

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撮影=佐々木 龍
撮影=佐々木 龍

「集落への理解なくして『大地の芸術祭』は開催できません」

「芸術祭は雇用も生み出し、FC越後妻有の選手たちは棚田で耕作をしています」

 新潟県の越後妻有地域を舞台にした「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ」。新型コロナウイルスの感染拡大の影響で今年は延期が決まったが、アートの持つ力は一向に失われていない。総合ディレクターを務める北川フラムさんに話を聞いた。

(聞き手=内田誠吾・ジャーナリスト)

── 7月下旬から新潟県十日町市と津南町のかつて「妻有(つまり)郷」と呼ばれる越後妻有地域で開催予定だった第8回「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ2021」が、新型コロナウイルスの感染拡大により延期になりました。

北川 これまでの来場者に対するアンケートの結果では、8割くらいの人たちが大地の芸術祭に対して好意的であり、3年に1度の芸術祭を楽しみにしてくれたようです。「延期は残念」という感想が多いことが、今夏の東京オリンピックと異なる点だと思います。しかし、(芸術祭会場となる越後妻有地区の)それぞれの集落で一人でも心配な人がいる以上、延期は仕方ありません。

── 大地の芸術祭は毎回、面積約760平方キロと東京23区より広い越後妻有地域で、約200の集落を舞台にさまざまなアーティストや作家が作品を展示する方式が特徴です。1カ所にまとめて展示しようとは思わなかったのですか。

北川 アートを1カ所に集めるように何度も言われましたが、私が強引にこの方式を進めました。1990年代にアートによる地域活性化策を推進した当時の平山征夫知事も、大地の芸術祭がこのような方式をとるとは考えていませんでした。…

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