メディア万華鏡

東京五輪でメディアはなぜ「ママさん選手」と騒ぐのか

山田道子・元サンデー毎日編集長
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東京オリンピックでは各国の女性選手の活躍が目立った。メディアはどう伝えたのか=国立競技場で2021年8月5日、久保玲撮影
東京オリンピックでは各国の女性選手の活躍が目立った。メディアはどう伝えたのか=国立競技場で2021年8月5日、久保玲撮影

 「田村で金、谷で金、ママになっても金です」。かつてオリンピックの柔道金メダリストの谷亮子さんが結婚、出産しても金メダルを目指すことを宣言し、メディアでは「ママでも金」の見出しで報道され、人々の記憶に残った。

 8月8日に閉幕した東京オリンピックでも、そんな「ママでも金」報道が生きていた!

 毎日新聞8月2日朝刊「東京2020+1 Features きょうの主役」は、バレーボール女子日本代表で最多となる五輪4大会連続出場の荒木絵里香(36)さん。結婚、出産を経て、現在は娘と離れた生活をしながら、荒木さんは最後の五輪に臨んだという。見出しは「ママでも続行 集大成」。

 陸上女子の100メートル障害の準決勝に挑んだ寺田明日香さん(31)も結婚、出産を経て競技に復帰したため、メディアでは「ママさんハードラー」の形容が乱れ飛んだ。

 結婚、出産を経て、女性がスポーツを続けることは、まだ当たり前ではないのか。「パパでも金」「パパさんハードラー」とは言わないのに、「ママ」が強調されるのはモヤモヤする。

なくしたい「駄言」とは

 日本経済新聞と日経BPは「女性だから」「女性のくせに」といった性別による無意識(意識的も絶対ある!)のステレオタイプな言葉を「駄言」と名付け、なくしたい駄言を募り、一冊の辞典にした。

 「早く絶版になってほしい #駄言辞典」(日経BP)。本が絶版となった時、ステレオタイプ発言はなくなったといえるのでは、と考えてつけたタイトルだ。6月に出版され、いま話題となっているこの辞典にはモヤモヤが詰まっている。

 「実際にあった『駄言』リスト」の章では、ツイッターやウエブに投稿された400超の駄言を…

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山田道子

元サンデー毎日編集長

1961年東京都生まれ。85年毎日新聞社入社。社会部、政治部、川崎支局長などを経て、2008年に総合週刊誌では日本で最も歴史のあるサンデー毎日の編集長に就任。総合週刊誌では初の女性編集長を3年半務めた。その後、夕刊編集部長、世論調査室長、紙面審査委員。19年9月退社。